専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
高校野球

【甲子園】最速156㎞!スーパースター投手・織田翔希の登場とバックが魅せた「戦略的守備」<SLUGGER>

氏原英明

2026.08.15

「ノーアウト満塁の時は攻めないといけないので、ホームを一番意識しながら、後ろのゲッツー(狙い)でした。三振で1アウトをとって、1点OKで少し後ろで取ろうと。相手の打線も結構良かったので、ヒットゾーンを狭めようと考えました。ヒットゾーンが広くなってしまうと、2点、3点と入ってしまうので。平常通りできたのは選択練習のおかげでです。毎日ではないですけど、結構、頻度を入れてるので、本当にそれがなかったらそういうプレー生まれないと思う」

 選択練習とは、あらゆるシチュエーションにおいてどんなプレーをするべきかを選択する練習だ。常に日頃から統一していくという。打球によってそれらの判断は変わるが、チーム内で染み込んでいる練習方法だという。

 1アウトを取ってから5番・下川源次の打球は織田のストレートに押されて二塁へ飛んだが、これを二塁手の田島陽翔が処理、遊撃手の池田へ転送した。ややボールは浮いたが、これを池田が落ち着いて捕球して一塁に送球。併殺が成立した。

 一塁手の小野舜友がガッツポーズを作り、投手の織田が両腕を挙げて小躍りするようにベンチへ走っていく。織田1人の活躍ではなく、チームが一つになって守り切った、象徴的なシーンだった。

 1つ目のアウトを三振で取った織田のワンマンショーではなく、チームでの併殺成立。織田がストレートで押し込んだからこそセカンドへの絶好の打球が飛んだし、これこそが横浜の伝統ともいうべき「戦略的守備」だった。
 
 その守備で勢いづいた横浜は7回表に9番・千島大翼の適時三塁打などで4点を挙げて試合の大勢を決めた。9回表には5番の江坂佳史が満塁本塁打を放ち5得点。終わってみれば10―1の快勝だったが、村田監督は「非常に厳しい戦いでした」と振り返り、守備面が勝利につながったとこう話した。

「満塁の守備練習は相当やってきたので、平常通りできた。ちょっと二塁の田島の送球がふわっと投げてうわーってなったんですけども、結果的には併殺が取れたんで、本当にやってきた練習が成果として出るんだなというのを再確認できました。うまくいかないことだらけなのが甲子園なので、うまくいかないところでもなんとか粘って我慢して勝ちに繋げられたというところでは、間違いなく成長したと思います。今日は今日で反省して、次の試合に向けて対策を練って、次の試合に向けて頑張っていきたいと思います」。

 窮地での織田の登場は、それこそ映画でも見ているようなスター誕生シーンだった。そこで生まれた、甲子園最速の156㎞。そして、横浜の洗練された守備。昨夏の甲子園でも横浜は歴史に残るようなビッグプレーを見せたが、この日は織田というスターとともに観衆を沸かせ、記憶に残るプレーで3回戦進出を決めた。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

【甲子園】「将来はメジャーに」──ミスで天を仰いだ超逸材が大会を去る<SLUGGER>

【甲子園】“シンガリ”は勝てない──優勝候補・花咲徳栄が屈した甲子園の「ジンクス」とは<SLUGGER>

【甲子園】強豪を苦しめた高めの真っ直ぐ──社のエース・岩井の好投に甲子園が沸いた<SLUGGER>
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号

  • soccer_digest

    8月7日(金)発売

    定価:980円 (税込)
  • world_soccer_digest

    8月6日(木)発売

    定価:980円 (税込)
  • smash

    7月23日(木)発売

    定価:800円 (税込)
  • dunkshot

    6月26日(金)発売

    定価:1100円 (税込)
  • slugger

    7月24日(金)発売

    定価:1100円 (税込)