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高校野球

【氏原英明が選ぶセンバツ名勝負5選:前編】滋賀の無名公立校が“ジャイアントキリング”をやってのけた第80回記念大会

氏原英明

2020.04.03

 ダルビッシュがこの瞬間をレフトのポジションから見届けたのは有名な話だ。右肩の状態が万全ではなかったこともあるが、指揮官が優勝を目指した当然の投手起用が結果としては裏目に出た。

 ただ、このゲームを歴史的にも振り返りたくなるのは、この大会が「ダルビッシュのもの」にならなかったターニング・ポイントでもあったからだ。1回戦でノーヒッターを達成し、2回戦で大阪桐蔭を封じ込めた。ここで、2番手に相当の真壁が好投を見せれば、のちの戦いもやりやすくなっただろう。

 そんな思惑を済美が粉砕したことに、この試合の勝利の価値がある。しかも、試合の大勢は東北のペースで進んでいたのにもかかわらず、だ。この試合は事実上の決勝戦と言っても良かった。
 
●第77回大会(2005年)1回戦 東邦(愛知)1-0育英(兵庫)

 このゲームをチョイスしたことに驚いた人は少なくないだろう。のちに阪神に入団した若竹竜士(育英)、中日、日本ハムなどに在籍した木下達生(東邦)の投げ合い。結果は1-0で木下が勝利した。

 この試合は、組み合わせが決まった時点から「高校屈指の本格派投手同士の対戦」と注目が集まっていた。だが、大会序盤での好投手同士の対決というのは、予想に反する展開になることが珍しくない。12年の第84回大会では、大阪桐蔭の藤浪晋太郎(現阪神)と花巻東の大谷翔平(現ロサンゼルス・エンジェルス)の投げ合いが話題になったが、この時は大谷の調子が散々だった

 ところが、この試合は2人の投手が互いに前評判に違わぬ投球を見せた。
 
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