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侍ジャパン

【節丸裕一のとっておき話】緊張感が何倍にも増した1次ラウンド・韓国戦での敗戦|第1回WBC前編

節丸裕一

2020.04.29

 当時、上原浩治とともに日本球界のエースだった松坂大輔も大会前、「イチローさんがあれだけ言って引っ張ってくれている通り、僕もそれだけ素晴らしい大会だと思います。今までのどの大会よりも上の大会。だからこそとにかく一番になりたい。日本が世界一だってことを証明したい」と話してくれた。その頃から松坂のメジャー志向は周知の事実だっただけに、メジャーリーガーとの対戦も楽しみではないかと尋ねたが、「今回は世界一になりたいだけで、誰かを相手に対戦を楽しみたいとかはないです」と真剣そのものだった。

 その後、福岡での代表チームの始動から壮行試合、と取材を続けていったが、チームの緊張感と、どんな大会なのか想像が難しい段階でのファンの温度。いろいろ感じながら大会開幕を迎えたことを思い出す。
 
 果たして、WBCの第1回大会は3月3日に東京ドームで幕を開けた。ナイトゲームでの日本戦の前、第1試合の韓国対台湾の実況を担当した僕は、空席だらけのスタンドに少しガッカリしつつも「これが歴史的な開幕戦なんだ」と意気込み過ぎてかなり肩に力が入った実況になってしまったが、選手たちもそういう部分はあったのかもしれない。第1試合の両チームにはかなり硬さが見られたし、ナイトゲームで登場した日本も、あとで聞いたところによると、試合前にイチローが周囲に「硬くなるだけ硬くなろう」という主旨のことを言っていたそうだ。

 試合が始まると、開幕投手を任された上原浩治は4回にまさかの一発を浴びて、2対2の同点。かなり格下と思われた中国相手の苦戦に、東京ドームが微妙な雰囲気になってきた。こういう雰囲気、選手にはますます重圧になってマイナスに働くかもしれないと心配したが、その直後に打線が目覚めたように大量得点。結局、8回コールドで18対2の大勝だった。

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