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侍ジャパン

【節丸裕一のとっておき話】緊張感が何倍にも増した1次ラウンド・韓国戦での敗戦|第1回WBC前編

節丸裕一

2020.04.29

 試合後、上原は「(同点弾は)泣きたいぐらい悔しかった」と振り返っていたのだが、去年10月、ヒューストンで会った際に尋ねると、まったく動揺しなかったそうだ。ざわつくスタンドにも「大丈夫、必ず勝てるから見ておいてよ」という感覚だったという。やっぱりメンタルの強さは、僕の想像以上だった。

 初戦に勝った日本は2戦目の台湾戦に14対3と大勝。韓国とともに2次ラウンド進出を決めた。順当すぎる結果は喜ばしいことではあったけど、正直、ここまではドラマ性には欠けていた。少なくとも僕はそう感じていた。
 ところが第3戦、日本は韓国に敗れた。決勝点はイ・スンヨプの逆転2ラン。試合後の日本の選手たちはとても取材ができるような雰囲気ではなく、イチローは公式会見で「(試合後のチームは)かなり屈辱的な雰囲気でした」と振り返った。そして「クラブハウスに戻った時、みんなものすごく悔しそうな顔をしていた。これは心強い」と続けた。

 この敗戦から、簡単に勝てる大会ではないという感覚が見ている我々にも生まれ、試合を見る時の緊張感が何倍にも増した。
【中編へ続く】

文●節丸裕一

【著者プロフィール】
せつまるゆういち。フリーアナウンサー。早稲田大学を卒業後、サラリーマンを経てアナウンサーに転身。現在はJ SPORTSなどでプロ野球やMLB中継を担当。フジテレビONE『プロ野球ニュース』にも出演。

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