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プロ野球

タイトルを獲得した若手右腕も…アマチュア野球ウォッチャー西尾典文が選ぶ「してやったり! 」スカウト以上に高く評価していた選手」

西尾典文

2020.05.25

 この春は1ヵ月後の対愛知大戦での投球も途中まで見ることができたが、この時も5回まで被安打1で無失点という好投を見せている。この2試合についてはテンポの良さとコントロールは抜群で打たれる気配がなかった。

 しかし、170㎝に満たない身長が敬遠されてか、プロはおろか社会人の有力チームからも声がかかることはなく、強豪とは言えないバイタルネットに進んだ。アマチュア時代、谷元を最後に見たのは08年の都市対抗野球。TDK千曲川の補強選手として出場し、初戦で敗れたものの大学時代の良さを残したまま、最速は145キロとスピードアップに成功していた。そのピッチングは十分にドラフト候補と呼べるレベルにあった。しかし、ドラフト会議が近づいても谷元の名前はあまり聞こえてこない。最終的には入団テストを受けて7位でのプロ入りだったが、もし身長があと10㎝高ければもっと高い評価になっていたことは間違いないだろう。
 
 野手で印象深いのが草野大輔(元楽天)だ。最初に見たのは03年の都市対抗で、当時すでに27歳だったが、パワフルなバッティングとスピード溢れる走塁は強く印象に残った。そして翌年の都市対抗では1試合2発、05年にもホームランを放っており、社会人の中でも完全に頭一つ抜けていた。あと3~4歳若ければと思ってこちらも見ていたが、29歳となる年にドラフト指名。プロ入り4年目には首位打者争いも演じる活躍を見せている。

 ドラフトはさまざまな巡り合わせがあり、指名順位イコールその選手の実力というわけではないが、山本と谷元は明らかに順位が低く、草野はプロ入りが遅かったということで強く印象に残っている。

 ちなみに、昨年のドラフトでは岡林勇輝(中日5位)の順位が低いように感じた。投手として見るか野手として見るかで評価が分かれたのだろうが、早くから野手に専念させる球団の決断は個人的には大賛成である。柔らかくてフォローの大きいスイングと運動能力を生かした外野の守備は福留孝介(阪神)の若い頃を彷彿とさせるものがある。近い将来、根尾昂や石川昂弥とともに中日を背負って立つ存在になる可能性も十分あるだろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「プロアマ野球研究所(PABBlab)」を2019年8月にリリースして多くの選手やデータを発信している。
 
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