一方、投手陣では西が3連投で2次リーグ突破に大きく貢献した。雨の中での登板が続いて疲労もかなりあったはずだが、Wエースとして期待された佐々木朗希(大船渡高)が負傷し、奥川恭伸(星稜高)も調整が遅れている中で、2勝と奮闘している。
今後の課題は、石川と西をどう援護できるかにかかっている。
特に、不慣れな環境で3連投をこなし、4日のパナマ戦で96球を投げた西は、決勝戦を見据えて温存するという判断も検討すべきだ。前回、一部の投手に起用が偏っていることを指摘したが、西の起用法を見るとその危惧が現実のものとなっている感は否めない。大会のレギュレーションでは、スーパーラウンドの初戦から西の登板は可能とはいえ、佐々木と奥川のパフォーマンスがまだ未知数な状況では、西を決勝の舞台までフレッシュな状態に戻す必要がある。
当然、佐々木と奥川の復調は優勝のためには不可欠だし、彼らのコンディションがベストに戻るとしたら、重要な役割はこなしてくれるだろう。スーパーラウンドは、この2人に加えて池田陵佑(智弁和歌山高)、浅田将太(有明高)をうまく使い、西を休ませたまま勝ち進むのが理想だ。
先に挙げた、熊田、森の打順を変えるのも一つの手だ。また、ここまでの試合でホームランを打っているのは、石川、西(2本)、横山陽樹(作新学院高)、水上桂(明石商高)と右打者ばかり。ジグザグに組むのではなく、同じパワー型の右打者を前後に配置するのも面白いだろう。
ステージが上がり、戦いが厳しくなっていく中で、指揮官がどういった手立てを打っていくのか、注目したい。
文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。