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プロ野球

【2010年代通信簿:阪神】ベテランと助っ人が存在感を発揮した一方で若手が思うように伸びず

藤原彬

2020.06.03

 中軸打者の育成にはただでさえ時間がかかる上、ホームランが出にくい甲子園を本拠地にしているだけに、より一層の忍耐が必要とされる。だが、熱狂的なファンやOB、マスコミを含めて周囲からの重圧もあり、なかなか我慢強い起用ができていないのも事実だ。

 藤浪晋太郎にも同じことが言える。12年のドラフトで4球団競合の末に引き当て、高卒1年目から3年連続2ケタ勝利を挙げた豪腕は、ここ3年間は制球難に苦しみ続けている。彼の場合も、一挙手一投足が大きく注目される中で浮上のきっかけをつかみづらい状況に置かれている。

「超変革」を掲げて16年から指揮を執った金本監督も、我慢強く若手を起用しながらも勝利との両立を迫られ、18年に17年ぶりの最下位に転落すると責任を取って2年の契約を残して辞任した。
 後任として現在チームを率いる矢野燿大監督は二軍監督からの昇格で、球団が若手育成の重要性を理解していることは伺える。昨年のドラフトでは1位から5位まで全員高校生を指名した。

 だが、人気チームの宿命で、周囲からは常に勝利を期待される。どちらも中途半端になれば、金本監督時代の3年間と同じ轍を踏むことになる。近視眼的に結果だけを追い求めるのではなく、戦力がピークに達する時期をにらみながら辛抱して若手を育てることが必要になってくるだろう。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『スラッガー』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。

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