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プロ野球

【2010年代通信簿:日本ハム】大谷の二刀流育成プロジェクトを成功させ、16年に日本一を達成

出野哲也

2020.06.04

 そして16年は投手として10勝、防御率1.86、打者として打率.322、22本塁打。投手と指名打者の2ポジションで同一年にベストナインを受賞し、MVPに選出された。「1番・投手で先頭打者本塁打」「優勝決定試合で15奪三振1安打完封」といった伝説的パフォーマンスの総仕上げは、日本シリーズ進出を決めたCS第5戦での「日本史上最速の165キロ」だった。

 大谷の成功は彼自身の努力に加え、栗山監督がぶれることなく初志貫徹したからこそ成し遂げられた。15年に入団したレアードは、当初不振だったのを辛抱して使い続けた結果、16年はリーグ最多の39本塁打。16年の前半戦に抑えで失敗を繰り返した増井浩俊を、シーズン途中から先発へ回したのも的中するなど、この時期の栗山采配は冴えまくっていた。
 日本シリーズでも第3戦で大谷がサヨナラヒット、第5戦は西川遥輝がサヨナラ満塁本塁打、そして第6戦は投手のブランドン・バースのタイムリーヒットにレアードのダメ押し満塁弾と、劇的なシーンの連続で10年ぶりの日本一。17年を最後に大谷はメジャーへ活躍の場を移したが、これ以上ないほど濃厚な5年間だった。

 大谷をはじめ、西川に近藤健介、中島卓也、上沢直之といった高卒選手たちを着実に戦力としていたのが日本ハムの強みだった。ここ数年はその育成力に陰りも見られるが、二刀流だけでなくアマチュア球界の人材を積極的に招き入れたり、19年はショートスターターなどの新機軸を取り入れたりと、常識に挑戦し続ける姿勢は変わらない。23年完成予定の新球場へ移転する前に、札幌ドームでもう一度胴上げが見られるだろうか。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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