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プロ野球

【2010年代通信簿:中日】球団史上最高の黄金期の後に訪れた球団史上最悪の低迷期

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2020.06.03

 さらに、高校生の指名を怠ったことで戦力の空洞化が生じてしまった。ただでさえ新旧交代が遅れていた状況下での即戦力ドラフト敢行と失敗は、その後もチームに長期的な悪影響を及ぼすこととなった。11年ドラフトで3球団競合の末に獲得した高橋周平の育成方針も行き当たりばったりで、主力に成長するまでに時間を要した。投手有利のナゴヤドームへの対応を意識するあまり強打者タイプを獲得しなかったことも、選手の小粒化につながった。

 投手コーチ、監督、シニアディレクターとしてチームを支え続けた森繁和は独自に開発した中南米ルートでルナやビシエド、アルモンテなど優良助っ人を次々に獲得したが、それでもチーム成績向上につながらなかったのは、肝心の日本人選手から主力が育たなかったからだ。就任会見で「この船は一度沈没しちゃったんだ」と語った落合GMだったが、自らの力で再浮上させることはできず、16年終了後に退任。その後も低迷は続き、7年連続Bクラスと球団ワースト記録を更新しながら現在に至る。
 
 落合GM退任以降、球団はドラフトでの方針を一大転換した。Bクラスが続く現状を見れば即戦力補強に動きたい思いもあるはずだが、そんな中でもポテンシャルの高い素材型選手を数多く指名。根尾昂、石川昂弥と甲子園で活躍したスターも加わり、数年前とは打って変わって若手有望株の宝庫となりつつある。

 与田剛監督が就任した昨季は、結果は5位だったもののシーズン終盤までCS争いを展開。20年代を迎え、チームを取り巻く雰囲気は確実に明るくなっている。球団史上最高の黄金期の後に訪れた球団史上最悪の低迷期。長い長いトンネルの出口がようやく見えてきた。

文●久保田市郎(SLUGGER編集長)

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