専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

【MLB今日は何の日】イチローが日米通算4257安打に到達&バンダーミアが史上唯一の2試合連続ノーヒッター

出野哲也

2020.06.15

 6月15日はもう一つの記録が生まれた日でもある。2016年のこの日、サンディエゴでのパドレス戦で、マイアミ・マーリンズの一番打者イチローが2安打を放った。これでメジャーで通算安打数は2979本。日本での9年間で積み重ねた1278本を加算すると4257本で、ピート・ローズのメジャー記録4256本を上回った。9回の第5打席、右翼線への二塁打で“新記録”が達成されると、その旨がビジョンで紹介され、イチローは観客席からの拍手にヘルメットを取って応えた。

「4257」という数字が近づくと、日本のメディアは感想を求めてローズの下に殺到した。ところが彼の反応は「俺を“ヒット・クイーン”にでもするつもりか? 日本とメジャーが同じレベルのわけがないだろう」というもの。王貞治がハンク・アーロンの通算本塁打数を超えた時にアーロンが示した紳士的・外交的な態度とは正反対で、祝福や賞賛の言葉を期待していた報道陣を戸惑わせ、そのニュースを知った日本のファンに不快感を与えた。
 
 しかしローズの主張は、負け惜しみでもなければ間違いでもない。日本の野球のレベルどうこうに関係なく、まったく違う環境のリーグでの数字を、そのまま合算することに無理があるのだ。米国でも「ローズにはすまないが、イチローこそ真のヒット・キングだ」(『GQ』)と主張する声はあったけれども、MLBの公式見解ではない。

 試合後の記者会見でイチローは「ここにゴールを設定したことがない」「どうしたってケチが付くことは分かっている」などと語り、「4257本」への関心の薄さを匂わせた。ただ、その一方で「日本だけでローズの記録を抜くことがおそらく一番難しい」とプライドも覗かせた。実際、年間試合数がメジャーより約20試合少ないNPBでは、通算安打のような積み上げ型の記録は不利だし、1試合あたりの安打数はメジャーに来てからの方が多かった。イチローは日米の数字を足して喜んでいる安易な姿勢にも、逆に日本で成し遂げたことを軽視するような意見に対しても、両方しっかり釘を刺したのだった。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

【PHOTO】日米で数々の金字塔を打ち立てたイチローの偉業を振り返る厳選ギャラリー‼
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号