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MLB

球団数大幅削減にシーズン中止…存亡の危機に立たされるマイナーリーグ

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2020.07.04

 レトロ感満載の遊園地コニー・アイランドのすぐ隣にあるブルックリン(メッツ傘下ショートシーズン)、フェンウェイ・パークのグリーンモンスターを模した「ミニモンスター」が自慢のポートランド(レッドソックス傘下2A)、イニング間の多種多様イベントが人気を集めるフリスコ(レンジャーズ傘下2A)、センター後方にニューヨーク湾を挟んで見えるマンハッタンの景色が美しいスタテンアイランド(ヤンキース傘下ショートシーズン)……。どの球場にもそれぞれの個性と魅力があるが、共通しているのは地域の日常に溶け込んでいることだ。

 マイナーリーグは第一義的には選手育成機関かもしれないが、同時にコミュニティの中心としての役割も担っている。また、地域に根差し、入場料も安いことから「ファンの入り口」としての機能もある。来年以降、少なくとも42もの球団が姿を消し、おそらく1000人以上の選手や指導者、職員が職を失うことになる(削減候補の中にはスタテンアイランドも含まれている)。百歩譲ってこれが「痛みを伴う改革」なのだとして、今までその40チーム以上が担ってきた役割は今後、誰が受け継ぐのか。
 
 今季開幕をめぐる選手会との交渉にしても、5巡目にまで大幅縮小されたドラフトにしても、そして今回のマイナーリーグ再編にしても、最近のMLBは目先の利益にとらわれ、長期的な球界の繁栄をどう考えるかという視点が欠けている気がしてならない。

 5月下旬、マイナーリーガーへの給与支払いを止めようとする球団が出る中、カンザスシティ・ロイヤルズはシーズン終了までサラリーを保証することを決めた。この時、デイトン・ムーアGMが語った言葉が印象的だった。

「決して世に知られることのないマイナーリーガーたち、ルーキーリーグや1A+から上に昇格できずに終わるマイナーリーガたちも、メジャー10年、15年のベテラン選手と同じくらい球界の成長に影響力を持っている。なぜなら、彼らは(引退後に)地元に戻ってアカデミーや短大、大学で指導者になったり、スカウトになったりするからだ。だから、今の時期にマイナーリーガーを一人も解雇しないことが私たちにとって重要なんだ。今は彼らを支援すべき時なんだ」

 同じことはマイナーリーグそのものにも当てはまるのではないだろうか。

文●久保田市郎(SLUGGER編集長)

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