取材の最後に、角監督に尋ねてみた。

「覚悟を持ってメジャーに挑戦した選手たちが、帰国してもNPBに受け入れ先がない。独立リーグが受け皿になるきっかけになろうとしているのか？」

　角監督は言葉を選びつつ、こう答えたのだった。

「ＢＣリーグは行き場がなくなった選手を受け入れるリーグではなく、次のステップに行くためのリーグであるということが大事な要素だと思っています」
  　野球界の発展を根っこから支える。

　NPBが作り上げた復帰制限措置、いわゆる“田澤ルール”はすぐに撤廃するべきだと思うが、その一方でこのようなクラブが存在することは非常にありがたいことだ。そのことは田澤が何よりも感じているはずだ。埼玉武蔵ヒートベアーズは、野球人への熱いリスペクトに満ちている。

取材・文●氏原英明（ベースボールジャーナリスト）

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき／1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』（新潮社）、『メジャーをかなえた雄星ノート』（文藝春秋社）では監修を務めた。