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【MLB珍獣図鑑】報復死球で話題のジョー・ケリーはおバカなことにも全力投球のいたずら好き

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2020.07.29

 変装も得意技の一つだ。優れた曲を作り上げたミュージシャンに贈られるグラミー賞も受賞した、ラッパーのネリーがカーディナルスの試合を訪れた際は、特殊メイクのマスクを被り、よぼよぼの爺さんになりすましてテレビインタビューを敢行。14年途中にレッドソックスへ移籍した後も、スプリング・トレーニングで「ジム・ブキャナン」なる偽レポーターに化けて選手たちを“取材”。チームメイトは正体がケリーであることに最後まで気付かなったという。

 一部の珍獣ウォッチャーの間では認知されていたケリーの知名度が一気に上がったのが、18年4月の大乱闘事件だ。宿敵ヤンキースとの一戦で、ケリーが投じた157キロ(!)の速球が、タイラー・オースティン(現DeNA)を直撃。オースティンが前の打席で併殺崩しの“殺人スライディング”を行ったことに対する報復死球だったことは明らかで、この時はすぐ大乱闘に発展した。
 
 この一件で6試合の出場停止処分を受けたケリーだが、すぐさま街のヒーローに祭り上げられたことは言うまでもない。何せボストンは、他のチームとの対戦でも、試合が盛り上がったら「Yankees Suck !(ヤンキース最悪!)」の掛け声が自然発生する土地柄。出場停止期間中、プレーオフを戦うNHLブルーインズの試合を訪れた際は、アリーナのジャンボトロンに乱闘の映像が流された直後にケリーの姿が映し出されると、大歓声が上がった。

 また、乱闘の翌日にはさっそく「JOE KELLY FIGHT CLUB」と書かれたTシャツがファンサイトで売り出された。「FIGHT CLUB」とはもちろん、デビッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット主演の傑作映画から取ったもの。現代消費社会に漬かった主人公が、拳と拳のシンプルな殴り合いを通じて「男らしさ」を取り戻そうと……(以下略)。それはともかく、ケリーのTシャツはすぐさま大きな反響を呼んだ。チーム内でもJD・マルティネスがいたく気に入って、一時は毎日のように着ていたという。
 

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