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プロ野球

日本のバイエズになれ! 一軍昇格の中日・根尾昂に伝えたい「スーパーユーティリティのススメ」

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2020.08.03

17年WBCでの「ノールック・タッチ」など変幻自在のプレーで魅せるバイエズ。多彩なポジションをこなすことでも知られる。(C)Getty Images

17年WBCでの「ノールック・タッチ」など変幻自在のプレーで魅せるバイエズ。多彩なポジションをこなすことでも知られる。(C)Getty Images

 バイエズだけではない。ドジャースの若き長距離砲コディ・ベリンジャーも、昨年はライト、一塁、センターを自在に行き来しながら156試合に出場し、47本塁打を放ってMVPに輝いた。今やMLBでは、「スーパーユーティリティ=器用貧乏な選手に与えられた役割」という図式は成立しなくなっているのだ。

 バイエズやベリンジャーほどの選手が多彩なポジションをこなすことで、ベンチの選択肢は飛躍的に増える。怪我人が出た際はもちろん、1試合の中でも相手投手や戦略の変更に臨機応変に対応できるからだ。彼らの出場パターンは、根尾の起用法を考える上でも格好のモデルケースになるだろう。
 
 実際問題、現在の中日は二塁とレフト、ライトの攻撃力が弱い。いずれも根尾が今季ファームで守っているポジションである。たとえば、ある試合では二塁で先発して途中からレフトを守り、その次の日はライトで出場、またある時は京田陽太を休ませて遊撃を守り……というケースも想定できる。決まったポジションがないことが、逆に強みにもなり得るのだ。

 バイエズと同じく、根尾もいずれは「終の棲家」と呼ぶべきポジションに落ち着くかもしれない。そうだとしても、当面は汎用性の高さを存分に生かして可能な限り多くの出場機会を得るべきだろう。その方が本人にとっても、そしてチームにとってもメリットが大きいはずだ。

 だから、あえて言いたい。「根尾よ、日本のバイエズになれ!」と。

文●久保田市郎(SLUGGER編集長)

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