昨年26歳9ヵ月の史上最年少スピードで通算150セーブに到達した、日本代表の守護神でもある山崎康晃(DeNA)も、藤川同様に今季は大不振に陥っている。1年目の2015年に37セーブで新人王、過去2年連続でタイトルに輝いている右腕だが、昨季の段階で空振り率が低下するなど不安なデータはあった。それでもどうにか6セーブこそ挙げているものの、16試合で防御率6.60。ヤスアキもまた、現在は抑えの座を手放している。
山崎に抜かれるまでの150セーブ最年少記録を持っていたのが、2000年代後半に広島の抑えを務めた永川勝浩だった。フォークを武器とした右腕は制球力に欠け、決して安定した投球ではなかったものの、07~09年には球団史上初の3年連続30セーブを達成するなど、この時点で163セーブ(奇しくも山崎の昨季時点の通算セーブと同じ)を挙げていた。ペース的には250も十分に射程圏内だったが、故障や不振もあってその後8年間で2セーブを加えたのみで現役を終えている。
24歳の時点で139セーブを積み上げていた松井裕樹(楽天)は、年齢や投球の質を考えれば250どころか歴代最多セーブも狙えたかもしれないが、今季から先発に転向しており、“この道”での名球会入りは現在のところなさそうだ。現役では増井浩俊(オリックス)や平野佳寿(マリナーズ)も残り100個まで迫っているとはいえ、年齢を考えると可能性は低いだろうか。
一見するとハードルが低く見える『250セーブ』。しかし、過去の達成者はわずか3人だけと、実際にはとてつもなく高いボーダーが設定されている。そもそも、クローザーは基本的に1チーム1名だけの狭き門だ。その門をくぐり抜けたとしても、待っているのはプレッシャーのかかる場面での大仕事。1年だけならいざ知らず、それを何年にもわたってやり抜くことは、我々が想像するよりもずっと難しいのだろう。
サファテも、藤川も、山崎も、もちろんまだ可能性は十分ある。しかし、これまでなら簡単に思えた『1セーブ』が、彼らに重くのしかかってきているのは間違いない。
文●新井裕貴(SLUGGER編集部)
山崎に抜かれるまでの150セーブ最年少記録を持っていたのが、2000年代後半に広島の抑えを務めた永川勝浩だった。フォークを武器とした右腕は制球力に欠け、決して安定した投球ではなかったものの、07~09年には球団史上初の3年連続30セーブを達成するなど、この時点で163セーブ(奇しくも山崎の昨季時点の通算セーブと同じ)を挙げていた。ペース的には250も十分に射程圏内だったが、故障や不振もあってその後8年間で2セーブを加えたのみで現役を終えている。
24歳の時点で139セーブを積み上げていた松井裕樹(楽天)は、年齢や投球の質を考えれば250どころか歴代最多セーブも狙えたかもしれないが、今季から先発に転向しており、“この道”での名球会入りは現在のところなさそうだ。現役では増井浩俊(オリックス)や平野佳寿(マリナーズ)も残り100個まで迫っているとはいえ、年齢を考えると可能性は低いだろうか。
一見するとハードルが低く見える『250セーブ』。しかし、過去の達成者はわずか3人だけと、実際にはとてつもなく高いボーダーが設定されている。そもそも、クローザーは基本的に1チーム1名だけの狭き門だ。その門をくぐり抜けたとしても、待っているのはプレッシャーのかかる場面での大仕事。1年だけならいざ知らず、それを何年にもわたってやり抜くことは、我々が想像するよりもずっと難しいのだろう。
サファテも、藤川も、山崎も、もちろんまだ可能性は十分ある。しかし、これまでなら簡単に思えた『1セーブ』が、彼らに重くのしかかってきているのは間違いない。
文●新井裕貴(SLUGGER編集部)