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プロ野球

岩隈久志の引退で思い出す「ダルビッシュ有との死闘」。パ・リーグ最高の“黄金カード”に胸を踊らされた

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2020.10.20

 09年開幕戦ではダルビッシュとの投げ合いが実現。9回3失点のダルビッシュに対し、6回1失点でまとめた岩隈に初めて勝ちがついた。そして10年4月24日の試合では、岩隈が完封して8回自責点1のダルビッシュに貫録勝ち。27アウトのうち17個をゴロに仕留めており、「これぞ岩隈!」と呼べるものだった。

 同年5月8日、函館の地では5度目の投げ合いが実現。これは今でも忘れもしない衝撃的な投手戦だった。ともに9回を投げ切って無失点(!)、127球を投げた岩隈は無四球7安打7奪三振、156球のダルビッシュは6安打11奪三振という、それぞれのスタイルが体現されたような内容。そして、日本時代最後の投げ合いは約1年後の11年5月10日。岩隈は対戦6度目で初めての被本塁打となる2ランを浴びて8回2失点、対するダルビッシュが9回15奪三振完封をマークして勝利した。

 日本では通算6回の投げ合いが行われ、岩隈が2勝2敗、防御率1.36、32奪三振、1完封。ダルビッシュは3勝2敗、防御率1.19、49奪三振、5完投2完封という、ハイレベルすぎる数字が並んでいる。それを考えると、メジャーでの3度の対戦(岩隈から見て1勝2敗)は両者ともQS(6イニング以上を投げて自責点3以下)がギリギリといった感じで、当時を知っていると物足りなかったのは間違いない。ただ、それでも、この二人が同じマウンドに立っているというだけでも、心躍らされたのもまた、事実である。
 
「僕なら完璧を求め、完璧に打ち取ろうとする所を、岩隈さんは『低めに投げればなんとかなる。 それで打たれたら仕方ないじゃん』。この意識の差はでかい」

 これは、ダルビッシュが09年に自信のブログで綴った言葉である。岩隈との計6度の対戦で5回の完投というのは、まさにダルビッシュが完璧を目指そうとしている一端を表しているように思う。それでもなお、2つの負けがついたのは、もちろん援護云々というのもあるが、岩隈の要所では力を入れ、淡々とイニングを消化していくスタイルで“やられた”面もあった。

 ダルビッシュは言う。いつもニコニコの岩隈は「太陽のような人」だと。創設当初、弱かった楽天で孤軍奮闘していた男は、ガラスのエースとも呼ばれた。しかし、数々の功績を残し、田中将大とともにチームを牽引。マウンド上では相手に隙を見せないクールさがあったが、最強投手との一戦では、確かに太陽のような「熱さ」を見せたことを、当時を知るファンは忘れないだろう。

文●新井裕貴(SLUGGER編集部)
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