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MLB

【ワールドシリーズ展望】投手力ではレイズ、打撃力ではドジャース…まさにあらゆる意味で対照的なチームの対決

宇根夏樹

2020.10.20

▼打線はビッグネームが並ぶドジャースが圧倒的に強力
 一方、打線はドジャースが断然上。ポストシーズンの18本塁打はレイズより7本少ないが、得点圏打率はレイズの.174に対して.276とチャンスに強く、69得点はレイズより12点も多い。しかも、過去2年にMVPを受賞したベッツとコディ・ベリンジャーをはじめ、ドジャースには資質だけでなく実績もある打者が多い。中でも今回のシリーズで特に注目すべきは、これまでのプレーオフ全試合で2番を務め、ナ・リーグ優勝決定シリーズでは5本塁打を放ってMVPを受賞したコリー・シーガーだ。一方のレイズではランディ・アロザレナがポストシーズンで7本塁打と爆発しており、ア・リーグ優勝決定シリーズでも4本塁打でMVP。2人の“MVP男対決”にも注目が集まる。

 ドジャース打線の懸念材料を強いて挙げるなら、過去のワールドシリーズでよく打った選手が皆無に近い点か。経験者の9人中、ワールドシリーズ通算打率が最も高いジャスティン・ターナーでさえ.245に過ぎず、6人は.225未満だ。2本塁打以上も、4本のジョク・ピーダーソンしかいない。もっとも、多い選手でも2シリーズ計12試合なので、サンプル数としてはごくわずか。そもそも経験で言えば、レイズの方はワールドシリーズを経験しているのは投手のモートン(アストロズ時代の17年)だけで、それだけなら圧倒的に不利だ。
 
 全体としては、ドジャースの方が優位だろう。レイズの投手陣がドジャースの打線を抑える可能性もあるが、これは相当難しい。ドジャースとリーグ優勝決定シリーズ対戦したブレーブスは、ワイルドカード・シリーズと地区シリーズの計5試合でたったの5失点だったのが、リーグ優勝決定シリーズでは7試合で39点を奪われた。特に第3戦では初回にプレーオフ史上最多の1イニング11得点を記録するなど、一度火が点くと手が付けられないのがドジャース打線。逆に言えば、この猛攻をいかに凌ぎつつ、ドジャース投手陣の隙を突くか……その答えを見出した時こそ、レイズの試合巧者ぶりが輝くはずだ。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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