一方、地肩の強さなら二俣がナンバーワン。投手としても140キロ台中盤のスピードを誇り、低い軌道で一直線にセカンドベースまで届くスローイングは迫力十分だ。中川、関本はいかにも捕手らしい体つきで強肩、強打も高レベル。内山も小柄ながら素早いスローイングとパンチ力を秘めており、大舞台の経験が豊富なのも魅力だ。

　社会人では辻本勇樹（NTT西日本）の名前が挙がるくらいで少し寂しい印象だが、独立リーグでは松井聖（BCリーグ・信濃）が面白い。大学を中退して四国アイランドリーグ・香川に入団し、昨年、信濃に移籍した選手だが、年々プレーに力強さと凄みが出てきた。今年で25歳という年齢は気になるところだが、スローイングとキャッチングは間違いなくアマチュアでも上位なだけに、獲得を検討している球団は間違いなくあるだろう。
  【2020年ドラフト：主な「有力捕手」】
古川裕大（上武大）
牧原巧汰（日大藤沢高）
栄枝裕貴（立命館大）
萩原哲（創価大）
中川拓真（豊橋中央高）
二俣翔一（磐田東高）
関本勇輔（履正社高）
内山壮真（星稜高）
辻本勇樹（NTT西日本）
松井聖（BCリーグ・信濃）

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「プロアマ野球研究所（PABBlab）」を2019年８月にリリースして多くの選手やデータを発信している。