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プロ野球

【お股ニキ流アナライズ Vol.2】球界の勢力図を一変させる“破壊者”丸佳浩の凄み

お股ニキ

2019.11.09

巨人最高のFA選手・小笠原に遜色しない活躍は、ある意味チームの“伝統”だった!? 写真:徳原隆元(THE DIGEST写真部)

巨人最高のFA選手・小笠原に遜色しない活躍は、ある意味チームの“伝統”だった!? 写真:徳原隆元(THE DIGEST写真部)

 さらに最近では、顔はバットと逆を向いた「あっち向いてほい」のような打ち方、いわゆるツイスト打法でホームランを放って話題となった。不調時に四球で逃げて成績をあまり崩さないのが丸の特徴であり良さでもある一方、そうした中で阿部慎之助の指導でツイスト打法に挑戦して体が開かないような意識を植え付けつつ、完璧ではないながらもある種、不格好な無意識ではなく意識した動きで実践できてしまう再現性の高さも素晴らしい。

 練習姿勢ももちろんで、シュッシュッと声を上げながらのティー打撃は周りの選手も真似をするほど。シャウティングしながら打撃をすることにも効果はあり、これがチームに派生していっている。巨人の強力打線で3番として坂本をアシストするだけでなく、こうした目に見えない裏の面、練習面、マインド面からもチームを支えている。広島時代に敵として持っていた情報や見えていた巨人の弱点、そして相手となる広島の情報などもおそらく伝えているはずだ。
 前年MVP戦士がFAで移籍してチームを優勝させた姿を見ると、2007年の小笠原道大を思い出さずにはいられない。06年に日本ハムでパ・リーグMVPを獲得すると、FAで地元千葉の近くの巨人に移籍し、負け犬根性が染み付き始めていたチームを中核として引っ張って変革。高橋由伸が1番で輝きを取り戻すなどした、あの07年シーズンだ。この千葉出身のFA戦士が巨人軍を救い、生え抜きスターとなる将来のキャプテン坂本の成長を“アシスト”したのである。巨人軍には長嶋茂雄終身名誉監督をはじめとして、千葉出身の野球人が活躍する伝統があるのかもしれない。

 広島では鈴木誠也をアシストし、巨人では坂本。“最強の2番手”としてチームを強化し、リーグのバランスを破壊するのが、丸佳浩という男なのである。


【プロフィール】
おまたにき/野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、さまざまなデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配ついての考えをツイッターで発信すると、2019年8月現在、2万5000人以上にフォローされる人気アカウントとなる。プロ野球選手にアドバイスすることもあり、中でもツイッターで知り合ったダルビッシュ有(カブス)に伝授した“お股ツーシーム”は多くのニュース媒体でも取り上げられた。今年3月に発売した初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴 マネー・ボールを超える野球論』(光文社)が大反響を呼んでいる。大のサッカー好きでレアル・マドリーファン。

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