野手では、二遊間を中心としたセンターラインの強化と、右打者の層に厚みを持たせることがテーマだった。３位で指名した遊撃手の小川は「守備は即主力級」と評価する声も多く、正遊撃手の藤岡裕大やレギュラーの座を狙う平沢大河らに刺激を与えられる存在になるだろう。やや非力気味な打撃はネックであるものの、源田壮亮（西武）のように守備から信頼を得てレギュラー獲得を目指してほしい。

　５位では地元出身の右のスラッガー候補・西川を指名。同じ右打者で２学年上の山口航輝らと切磋琢磨し、今季途中から４番に座り続けた安田尚憲に次ぐ数年後の打線の軸となることに期待したい。
  　育成では捕手の谷川と外野手の山本という２名の高校生野手を指名。いずれも全国的には無名の存在だが、スカウトを惚れさせた一芸を武器に二軍で実戦機会を積み、今季ブレークした和田康士朗に次ぐ「育成の星」となることを願う。

　藤原恭大や佐々木朗希らの指名に成功したここ数年のドラフトに比べると寂しく見えてしまうのは仕方のないことだが、補強ポイントを抑えた指名にはなったと言える。スカウトが獲得してきた選手を信じ、そして現場の育成能力を信じ、５～10年後に一人でも多くの選手がチームの柱になっていることに期待したい。

文●やまけん

【著者プロフィール】
1999年生まれ、千葉県出身。「一人でも多くのアマチュア野球選手がスポットライトを浴びてほしい」という思いから、関東を中心に全国のアマチュア野球の試合を年間約150試合を球場で観戦するアマチュア野球観戦者。Twitter→@yam_ak_en