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プロ野球

【2020ドラフト総括:DeNA】独自路線で剛腕・入江に加えて大学・高校ナンバーワン打者も両取り。でも、そろそろ正攻法が見てみたい?

西尾典文

2020.11.01

 さらに、2位の牧と4位の小深田も大きなプラスだ。牧は、打撃の確実性では大学ナンバーワンとも言える存在で、長打力も兼ね備えている。強打のセカンドという点は一昨年に2位で獲得した伊藤裕季也とも共通するが、大学4年の時点では、牧がすべてにおいて伊藤よりワンランク上回っている。

 また、小深田も今年の高校球界を代表する強打者。彼より上位で指名された井上朋也(花咲徳栄高→ソフトバンク1位)や元謙太(中京大中京高→オリックス2位)と比べても、現時点での打撃力は上回っているように見える。サードの守備も安定しており、牧とともに将来の中軸候補として期待できる存在だ。

 その他では、松本、池谷、高田と左投手を揃って指名。3人も左を揃える必要があったかについては疑問が残るが、松本と高田は高校球界でも屈指のサウスポーで、池谷もまだ高卒3年目と、いずれも将来性には期待が持てる。特にこの中では、松本が今のチームにいないタイプの大型左腕だけに貴重な存在となりそうだ。
 
 事前に補強ポイントとして挙げていた右の剛腕タイプは入江、二遊間の補強は牧でカバーしており、他にも楽しみな選手は多い。ただ最大の疑問点として挙げたいのは、やはり1位指名。入江も将来性豊かな投手ではあるが、同じドラフト1位指名された大学生でも早川隆久(早稲田大)、伊藤大海(苫小牧駒沢大)と比べると明らかにワンランク落ちることは間違いない。

 最終的に入江が早川と伊藤を上回る可能性ももちろんあるが、成功確率の高い選手を優先すべきではなかったか。こうした方針が今年だけでなく、これまで毎年繰り返されている点は非常に気になるところ。「その年の一番良い選手を狙う」という正攻法の姿勢も見せてもらいたい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「プロアマ野球研究所(PABBlab)」を2019年8月にリリースして多くの選手やデータを発信している。
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