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プロ野球

争奪戦必至のチェン・ウェイン。中日、ロッテ時代の”無援護”ぶりを振り返る

THE DIGEST編集部

2020.12.03

球界屈指の好投手である山本も、チェン同様に“ムエンゴ”を発症している。 写真:田口有史

球界屈指の好投手である山本も、チェン同様に“ムエンゴ”を発症している。 写真:田口有史

 前年に先発ローテーション入りを果たしたチェンは、09年の開幕戦を6回無失点で初勝利、6点の援護ももらった。続く登板も7回無失点に抑えたが、今度は一転して援護ゼロ。「ここまでは良くあること」で済むかもしれない。

 しかし、チェンは7登板連続で7イニング以上を投げて3失点以下、その間の防御率は1.55と素晴らしい成績を残す一方で、勝ち星はわずか1勝(2敗)。唯一の白星は自身の9回完封のみという事態で、味方の援護はすべて2点以下とランサポートが異常に少なかった。

 結局、チェンはシーズン防御率1.54で 、2位の吉見一起(2.00)に大差をつけてタイトルを獲得したものの、わずか8勝(4敗)。チームメイトの吉見が16勝で最多勝を手にしたのとは対照的な結果だった。しかも8勝のうち4勝は完封で記録したものだったから、「自力で勝った」と言ってもいい試合が多かったのだ。

 しかも、この年の中日打線は両リーグ4位の得点数を誇り、決して貧打だったわけではない。実際、チェンが登板した7月17日の横浜戦では12点の大量援護をしたこともあった(もっとも、この時はチェンが完封しているというのも、皮肉めいているのだが)。しかし、12試合で援護点は2点以下とタイミングよく得点ができず、チェンが記録したQS19回のうち11度で勝ちがつかなかった。
 
 中日でも、ロッテでも、これが1シーズンに限らず、時が経ってもこれだけ援護がなく”勝てない”というのは、何か不思議な力は働いているようにすら思えてくる。そして、“チェン2世”と呼んでもいいような投手が出てきた。現球界を代表する本格派右腕・山本由伸(オリックス)だ。

 昨シーズン、史上8人目の高卒3年目以内での最優秀防御率に輝いた山本。しかし、その勝敗は8勝6敗。防御率1.95という数字からは想像できないほど、”勝てなかった”。7回以上を投げて1失点以下で白星がつかなかった試合が5回もあり、特に4月3日のソフトバンク戦では8回1死までノーヒッター、9回0封しながら勝利投手にもなれなかった。

 2リーグ制となった1950年以降、防御率1点台でタイトルを獲得した投手で2ケタ勝利ができなかったのは、チェンと山本を含めて5人しかいないというのも、両者の”無援護病”がいかに重症か分かるだろう。

 チェンを巡っては阪神をはじめ複数球団が獲得を狙っているという。もしチェンが新しい球団に移っても勝てないようだと、本当に「そういうもの」だと割り切るしかないのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部
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