何たる不運。二人のラブストーリーは出会う前に終わったかに思えたが、やはりエチャバリアたちは結ばれる運命だったのだろう。何とトレードされたちょうどその時、ボウルズはエチャバリアのいとこが付き合っていた友人の家、そうタンパに来ていたのである。1720キロあった二人の距離が、一瞬にして数十キロまで縮まった。
最初はエチャバリアの一方通行だった恋路も、「初めて彼に会って、好きになっちゃった。すぐにいい関係になったの」とボウルズ。そして、初デートの翌週、エチャバリアはボウルズに会うため、1日しかない休みでセントルイスへ向かった。彼女の案内のもとでビール工場や動物園、ゲートウェイ・アーチを見て回ったという。
エチャバリアはこの後、ピッツバーグ・パイレーツ、ニューヨーク・ヤンキース、ニューヨーク・メッツ、アトランタ・ブレーブスと4球団を渡り歩いた。せわしなくアメリカ各地を転々としても、ボウルズとの関係は揺るがなかった。そしてこれも、二人の“奇跡”かもしれないが、ボウルズは根っからの“野球ファン”だったのである。
あのイチロー(エチャバリアともマーリンズでチームメイトだった)も好きな場所に挙げるほど、セントルイスは「真のベースボール・タウン」として有名だ。非常に野球熱の高い土地柄なのである。そしてボウルズ一家もご多分に漏れず、カーディナルスファンだった。メジャーリーガーを好きになる下地があったわけである。
しかし、2019年のポストシーズン、エチャバリアが所属していたブレーブスとカーディナルスが対戦することになった。果たして、ボウルズは彼氏のチームを応援するのか、それとも生まれてからのファンであるチームを応援するのか。結果は……前者だった。
もはや家族公認の関係になっており、ボウルズの父親もTVではカーディナルス戦、iPadではブレーブス戦をつけて応援するほどエチャバリアが大好きになっていた。そしてブレーブスがセントルイスに乗り込んだ地区シリーズ第3戦、ボウルズ家は初めてカーディナルスのユニフォームを着ずにエチャバリアを応援した(9回に代打で登場して三振に終わったものの、その裏の守備についてブレーブスは3対1で勝利)。
エチャバリアとボウルズは、今年の秋に結婚式を行う予定だったが、コロナ禍などもあって延期した。そしてこのオフ、エチャバリアはアメリカを離れて日本への移籍を決断。ボウルズもともに来日するのかはまだ明かされていない。そんな彼女にはひとつ夢がある。家族メンバーとしてワールドシリーズの優勝を味わうことだ。
今年、ブレーブスは3勝4敗でロサンゼルス・ドジャースに敗れ、ワールドシリーズのに進出できなかった。そしてエチャバリアの移籍に伴い、その夢が叶うのは、どんなに早くても2022年ということになる。しかし、エチャバリアが大活躍してロッテを優勝に導けば、「日本一」をボウルズに届けてくれるかもしれない。そしてそれは、エチャバリア自身も、ボウルズも、ロッテ球団もファンも、誰もが“幸せ”となる最高のストーリーである。
構成●THE DIGEST編集部
最初はエチャバリアの一方通行だった恋路も、「初めて彼に会って、好きになっちゃった。すぐにいい関係になったの」とボウルズ。そして、初デートの翌週、エチャバリアはボウルズに会うため、1日しかない休みでセントルイスへ向かった。彼女の案内のもとでビール工場や動物園、ゲートウェイ・アーチを見て回ったという。
エチャバリアはこの後、ピッツバーグ・パイレーツ、ニューヨーク・ヤンキース、ニューヨーク・メッツ、アトランタ・ブレーブスと4球団を渡り歩いた。せわしなくアメリカ各地を転々としても、ボウルズとの関係は揺るがなかった。そしてこれも、二人の“奇跡”かもしれないが、ボウルズは根っからの“野球ファン”だったのである。
あのイチロー(エチャバリアともマーリンズでチームメイトだった)も好きな場所に挙げるほど、セントルイスは「真のベースボール・タウン」として有名だ。非常に野球熱の高い土地柄なのである。そしてボウルズ一家もご多分に漏れず、カーディナルスファンだった。メジャーリーガーを好きになる下地があったわけである。
しかし、2019年のポストシーズン、エチャバリアが所属していたブレーブスとカーディナルスが対戦することになった。果たして、ボウルズは彼氏のチームを応援するのか、それとも生まれてからのファンであるチームを応援するのか。結果は……前者だった。
もはや家族公認の関係になっており、ボウルズの父親もTVではカーディナルス戦、iPadではブレーブス戦をつけて応援するほどエチャバリアが大好きになっていた。そしてブレーブスがセントルイスに乗り込んだ地区シリーズ第3戦、ボウルズ家は初めてカーディナルスのユニフォームを着ずにエチャバリアを応援した(9回に代打で登場して三振に終わったものの、その裏の守備についてブレーブスは3対1で勝利)。
エチャバリアとボウルズは、今年の秋に結婚式を行う予定だったが、コロナ禍などもあって延期した。そしてこのオフ、エチャバリアはアメリカを離れて日本への移籍を決断。ボウルズもともに来日するのかはまだ明かされていない。そんな彼女にはひとつ夢がある。家族メンバーとしてワールドシリーズの優勝を味わうことだ。
今年、ブレーブスは3勝4敗でロサンゼルス・ドジャースに敗れ、ワールドシリーズのに進出できなかった。そしてエチャバリアの移籍に伴い、その夢が叶うのは、どんなに早くても2022年ということになる。しかし、エチャバリアが大活躍してロッテを優勝に導けば、「日本一」をボウルズに届けてくれるかもしれない。そしてそれは、エチャバリア自身も、ボウルズも、ロッテ球団もファンも、誰もが“幸せ”となる最高のストーリーである。
構成●THE DIGEST編集部