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“日本のロベルト・クレメンテ”、筒香嘉智が社会貢献活動を続けるワケとは?

中島大輔

2021.01.19

大柄な体格に似合わず柔軟性を持ち合わせる筒香。その原点は中学時代にあった。写真提供:プロスペクト株式会社

大柄な体格に似合わず柔軟性を持ち合わせる筒香。その原点は中学時代にあった。写真提供:プロスペクト株式会社

 身体の強さという意味では、筒香が中学生の頃から現在まで続け、身体づくりの根幹にあるというエクササイズの意義についても伝えている。

「中学生の時は怪我をして1年弱くらい野球をしていない期間がありました。その期間をエクササイズ中心にすごすことができたから、今も身体のどこにも悪いところがなくプレーできています。その時にエクササイズの深いことを分かっていたわけではないのですが、今になって、小さい頃から続けてきて良かったと思うことがたくさんあります。

 皆さんも必ず将来、『あの時エクササイズを続けていて良かった』という日が来ると思います。毎日することに意味があると思うので、少ない時間でもいいので、毎日行なってほしいです」

 橋本市の少年少女にとって、自分たちの街から羽ばたいたメジャーリーガーの言葉に感じるところは多くあったはずだ。筒香は子供たちに向けてこうした社会貢献活動を行うのみならず、外国人特派員協会で指導者の意識改革を訴えたり、インスタグラムでユニセフの寄付を呼びかけたりするなど“発信”にも力を入れてきた。近年はSNSの浸透もありメッセージを伝える方法は多岐にわたる中、自らの活動を社会に広める意義についてどう考えているのだろうか。
 
「社会で必要とされ、誰かが行動を起こしても、なかなか変わらないものは多々あると思います。発信力のあるスポーツ選手がそういう活動をすることによって、スポーツ全般や、スポーツに限らず、より良いものができていく。

 未来にすごく可能性のある子供たちのために動くことは、社会全体にとって非常に大事なことです。僕らがそういう活動をすることがきっかけになって、いろんなところにある良いものがひとつの方向に向かい、より良い社会をみんなで一緒に作り上げていくことができると思っています」

 筒香と同じように、社会貢献活動に熱心な選手は日本にも少なからずいる。そこで日本プロ野球選手会は昨年、「Player’s Plus」というオウンドメディアを立ち上げた。選手たちの活動を、世間にもっと発信していくためだ。

 こうした取り組みの意義が広く認知されることで、野球が生み出す価値も高まっていくはずだ。

取材・文●中島大輔

【著者プロフィール】 
なかじま・だいすけ/1979年生まれ。2005年から4年間、サッカーの中村俊輔を英国で密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に野球界の根深い構造問題を描いた『野球消滅』。『中南米野球はなぜ強いか』で2017年度ミズノスポーツライター賞の優秀賞。近著に『プロ野球FA宣言の闇』など。
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