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プロ野球

【セ・リーグ編】実力と球団事情から“ドライチ新人”の「2021シーズン」を占う!〈SLUGGER〉

西尾典文

2021.02.02

DeNA:入江大生(投手・作新学院高→明治大)

 作新学院では今井達也(西武)とともに3年夏の甲子園優勝。当時は打者で注目されたが、大学では本来の投手に戻り才能が開花した。恵まれた体格を生かしたパワーピッチングが持ち味で、4年時にはフォームの躍動感が明らかにアップし、好調時には150キロを超えることも珍しくない。ただ同じ明治大からドラフト1位でプロ入りした先輩の森下暢仁(広島)に比べると全てがまだまだ粗削りで、プロ1年目の時点ではかなりの差があることは間違いない。球威はあるだけにリリーフとしての起用も面白そうだが、先発として考えるのであれば巨人の平内と同様に2年目か3年目のローテーション入りが現実的だろう。

広島:栗林良吏(投手・愛知黎明高→名城大→トヨタ自動車)

 社会人ナンバーワンの実力派右腕。名城大時代から評価は高かったが、社会人の2年間で全てにおいてレベルアップを果たした。高い位置から投げ下ろすストレートは上背以上の角度、数字以上の威力があり、左右のコントロールもぶれることがない。ブレーキのあるカーブで打者の目線を変えられ、フォーク、カットボール、ツーシームと決め球として使える変化球も多彩だ。チーム事情的にはリリーフが苦しいが、1年目からローテーション入りできる可能性は高く、新人王の筆頭候補と言えるだろう。
 
ヤクルト:木沢尚文(投手・慶応高→慶応大)

 早川隆久(楽天)、鈴木昭汰(ロッテ)と2人サウスポーを外したヤクルトだが、東京六大学を代表する本格派右腕の木沢が残っていたことは幸運だったと言えそうだ。高校時代から故障に悩まされてきたが、逆にそのことがフォームと体作りを見直すきっかけとなり、結果としてプラスになったように見える。150キロを超えるストレートは数字の割に打者に当てられることが多いが、手元で鋭く変化するカットボールで空振りをとれるのが魅力。中盤以降も球威が落ちず、力投タイプだが制球も悪くない。調子の波が課題で現時点では貯金を作るのは難しそうに見えるが、コンディションさえ問題なければ1年目からローテーション争いに加わってくる可能性は十分にあるだろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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