専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

追悼・金田正一~国鉄スワローズを支えた偉大なる“ワンマン”~

スラッガー編集部

2019.10.08

 まさに投打に独り舞台で国鉄を支えた金田だが、64年オフにスワローズの経営権が国鉄からサンケイに譲渡されたのに反発して、巨人に移籍してしまう。当時の球界には現在のFA制度の走りとなる「10年選手制度」というものがあり、10年以上同一球団で活躍した選手には自由に移籍できる権利が与えられていたのである。

 金田はこの権利を行使して鳴り物入りで巨人に入団したのだが、それ以降は八面六臂の活躍ぶりは鳴りを潜めてしまった。投げすぎが祟って慢性的なヒジ痛に悩まされていたということもあるが、V9時代を謳歌するスター軍団の中にあって、相対的に存在感が小さくなってしまったのかもしれない。

 投手陣には堀内恒夫や高橋一三、城之内邦雄がおり、打線には長嶋茂雄や王貞治がいて、金田の活躍がなくとも勝つことができた。巨人に移籍した時の金田はまだ32歳だったが、選手としては晩年に差しかかっていた。20勝どころか2ケタ勝つのがやっとの有様で、5年間に200イニングを投げることする一度もできなかった。69年10月10日に挙げた通算400勝目は、先発で好投した城之内に、5回からマウンドを譲られて達成したものである。そして、同年限りで金田は現役に幕を下ろした。
 現役を引退してからもロッテオリオンズの監督として話題を振りまき、球界を退いてからも「現役時代は180kmの球を投げていた」など驚きの発言をするなど、その唯我独尊ぶりは最期まで健在だった。しかし、一見、荒唐無稽のビッグマウスも、この人ならもしかしたら事実だったのかもしれない……と思わせる雰囲気があった。

 まさに巨星堕つ。華やかなりし昭和のプロ野球を担った最大のレジェンドが、また一人いなくなってしまったことは残念でならない。


構成●スラッガー編集部

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号