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プロ野球

ヤクルトの弱点を補う「5番・内川聖一」の可能性。背番号7の“影響力“は今季最大の補強になるか

井上尚子

2021.03.09

 キャンプ中の対外試合で、内川の出場は2試合。4打数2安打1打点の成績だった。4番村上の後を打つ5番は、昨年固定できなかった弱点でもある。5番に強打者を置かなければ、村上が歩かせられるからだ。実際昨年の村上は、四球と故意四球が格段に多かった。外国人選手がいつ入国できるか分からない状態で、今そこに座る可能性が一番高いのは内川だ。

 3月3日。東京ドームでのオープン戦初戦。巨人に移籍した井納翔一から、5番内川が本塁打を放った。チームのムードを一気に変える一発。控え目に「アゴタッチ」をしてくる若手を逆にどやしつける姿は生き生きしていた。

 1番塩見、2番青木、3番山田、4番村上、5番内川、6番坂口……。個々の能力を十二分に発揮すれば、相手にとっては実に嫌な打線となるはずだ。守備面でも、2019年に一塁手として守備率10割を記録し、ゴールデングラブ賞も獲った内川の安定した守備は、チームにとって心強い。
 
 内川は、ヤクルトを選んだ理由の一つに「杉村繁コーチの存在」を挙げた。自身の年齢もあり、やがて指導者になる時のため、という考えもある。杉村コーチの指導に触れ、自分のプラスにすることと、他選手のプラスを考えること、両方を求めていくシーズンになる。ヤクルトは若手の育成は当然だが、中堅どころが今一つ伸びていない面があり、ベテランの力がまだ必要だ。青木・坂口とともに、一年中出場し続けることは難しいだろうことからも、その存在をプラスにし、彼らの立場を脅かす中堅・若手が一人でも多く出て来なくてはいけない。

 「勝ち方を知っているというより、強いチームにいただけ」と謙遜する内川だが、強いソフトバンクの四番も務め、両リーグ首位打者も達成した。二軍暮らしも経験し、自分がいなくても優勝する強いチームを、外から客観的にも見てきた。「経験だけはたくさんしてきているから、それを伝えたい」という内川が、後で振り返ってみて今季最大の補強である可能性は、意外と高いのかもしれない。

文●井上尚子

【PHOTO】ヤクルト沖縄キャンプの模様をお届け!古田コーチと高津監督のキャッチボールも

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