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高校野球

「実力差のある0対1だった」――仙台育英の若き指揮官を称える名将・馬淵監督の言葉から見える新時代の到来

氏原英明

2021.03.20

「今大会で言うと、市和歌山の小園(健太)投手や大阪桐蔭の関戸(康介)投手などが評判の投手だと思いますが、点が取りにくい投手は代木君が一番じゃないかなと思っていました。左打者で臨むべきか、右打者がいいのかは考えました」

 大会前の練習試合で試行錯誤した結果、上位には左打者を多くし、6番に昨秋はベンチ外だった右打者の遠藤太胡を起用。これが当たった。この試合唯一の得点は遠藤の一打だった。

 そして、高校野球で最も難しいとされる継投は、半分は計画通り、半分は試合中に見極めてのものだ。

「(先発した)古川翼のストレートが対応されていて、変化球が入らなくなっていた。変えどころを探っていたところで、4回の一、三塁のピンチで、ここしかないなと思って決断しました。古川と伊藤樹の2人がお互いのいいところを出し合ってくれた。センバツは発展途上のチームですが、夏の大会のような集中力を見せてくれた」
 百戦錬磨の指揮官に采配で上回っての勝利は大きな自信になっただろう。

 馬淵監督は「(須恵は)これから東北のリーダーシップを取っていく監督だと思う」と語った。それは最上級の称賛であると同時に、新時代の訪れを感じている重要な言葉でもある。

「仙台育英はもちろんですが、これからのチーム、私にとっても大きい一戦です」

 大会屈指の好カードの決着は指揮官たちにとっての新時代を意味するのだろうか。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。
 

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