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プロ野球

もつれれば巨人、一気に波に乗れればソフトバンク。日本シリーズは間違いなく初戦がカギとなる!

氏原英明

2019.10.18

ソフトバンクの打線に投手陣がどう向き合っていくか。いずれにしても巨人は初戦が重要となる。提供:朝日新聞

ソフトバンクの打線に投手陣がどう向き合っていくか。いずれにしても巨人は初戦が重要となる。提供:朝日新聞

 一方の巨人は初戦に先発する山口俊が大きなカギを握る。
 ソフトバンク打線の調子がいいと仮定して、その中で、どう対峙していくか。CSファイナルにおけるソフトバンクの勢いを止められるかどうかも、彼の初戦のピッチングにかかっているというわけだ。

 ブルペン勝負では厳しいところがある。開幕から一番最後が決まっていないから、起用が不安定になり、連敗をする時期もシーズン中にはあった。

 ただ、評論家の谷繁元信氏は「開幕の頃からクローザーが厳しいということをわかっている」というのも強みの一つになるという。突如、崩れたわけではないから、そもそも、打ち勝っていくことも考慮に入れた戦いをしてきているということだ。クローザーの不安定さは織り込み済みだ。

 打線はソフトバンクとも十分に渡り合える。
 1番に定着した亀井義行が打線に火をつけるように出塁をする。2番の坂本勇人は犠打をほとんどせず、持ち前の打棒を見せていく。救援陣が心許ないから初回から2得点以上を狙う戦いをするのだ。選球眼があり、長打、足もある丸佳浩が3番に入って、打線をうまく循環させ、4番の岡本和真、右投手なら阿部慎之助、左投手ならゲレーロと一発のある打者が並ぶのだ。そして、随所に原監督の采配が効く。

 「大事な1点」と踏んだ時はどんな打者にも犠牲を求める。ここがパの覇者・西武とは異なるところで、自身のスタイルを押し出すところと勝つための戦術を使い分けられるのだ。

 下位打線にやや不安を残すが、相手投手に合わせて人を替えながらチャンスを作り、上位打線に回すことを徹底している。下位が少しでもチャンスメークできれば、2番・坂本起用の効果も活きてくるわけである。
 エースである菅野智之の状態は気になるところだ。
 現状では、第3戦目の先発が有力視されているが、ここはとても重要だ。もし、第1戦の山口で落とし、2戦目も連敗したとなると、かなり窮地のところで菅野を迎えるし、1勝1敗なら、星をリードする大事なゲーム。2連勝で迎えたなら、一気に流れを引き寄せる役を担う。また、あるいは、3戦目に先発して7戦目までもつれれば、最後も菅野の先発となるわけである。

 兎にも角にも初戦がキーを握る。
 山口がソフトバンク打線の化けの皮を剥がすことができるか。それとも、ソフトバンクが圧倒的な力を見せつけることができるのか。

 もつれれば巨人のもの、ソフトバンクは一気に頂点に駆け上がる展開を目指したいところだ。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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