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【MLB注目スターファイル】史上初の「開幕無四球&58奪三振」! 絶賛ブレイク中の右腕コービン・バーンズ<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.05.22

 だが、この不調はどうやら視力の低さが原因だったらしく、オフにレーシック手術を受けて回復。さらにまた、13本も本塁打を浴びた4シームに代えて、回転数の高いカッターとシンカーの割合を増やすと、翌20年にブレイクを果たした。

 開幕当初は主にロングリリーフを務めていたが、そこで結果を残してローテーションに組み入れられた。最終的には規定投球回にわずか1アウト届かなかったが、88奪三振はリーグ9位。ゲン担ぎのためにこの年から髪を伸ばし始め、ロングヘアは今や彼のトレードマークになった(妻に『きちんと手入れをしろ』と散々文句を言われているらしいが)。

 それにしても、昨季までは特にコントロールに優れているというイメージはなかったのに、なぜここまで豹変したのか。『ビッグデータ・ベースボール』や『THE MVP MACHINE』など、MLBのデータ分析にまつわる著書を執筆しているトラビス・ソーチックによれば、全投球の半分以上の割合で投げているカッターの制球向上が大きいようだ。

 ソーチックいわく、「バーンズはストライクゾーンのどこにでもカッターをコントロールできる」。しかもこのカッターは、20年よりも速く、かつ鋭く変化するようになっている。結果、5月20日時点で9イニング平均の奪三振率は14.95、それでいて与四球率は0.45という、信じがたい高水準の成績となっている。
 
 記録が途切れた時、バーンズは「四球というのは、出してしまうのが普通なんだよ」と、ショックを受けた様子はあまりなかった。それどころか、「一人も歩かせないってことは、僕が今季目標にしていたものではなかった。でも、無四球を長く続けることは確かに特別だ。また最初からやり直しだよ」と悠然としていたのは、エースとしての矜持も身につきつつあるという証明だろうか。

 話題となっている「四球を出さないままの連続三振」という記録は、5月17日にゲリット・コール(ヤンキース)が61三振ですでに更新してしまった。これだけの短期間で相次いで新記録が生まれた背景には、おそらくボール変更に伴う投高打低の環境も関係していると思われる。そうは言っても、バーンズが目覚ましい成長を見せている事実に変わりはない。

 4月末に新型コロナに感染するという不運はあったが、幸い無症状ですぐに復帰したバーンズ。5月19日現在も防御率1.79と好投を続けている。今後も調子を維持できれば、サイ・ヤング賞の有力候補になるに違いない。今のうちからバーンズを要チェックしておいてほしい。

構成●SLUGGER編集部
 
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