専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

ソフトバンクの4連勝が示した現実。工藤監督の仕掛けに応じる「駒数」が巨人には欠けていた【日本シリーズを読み解く/第4戦】

氏原英明

2019.10.24

工藤監督は常に先手を打つ選手起用で巨人を圧倒した。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

工藤監督は常に先手を打つ選手起用で巨人を圧倒した。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

「後悔したくない。だから、勇気を持って決断しました」

 工藤監督が語る言葉はいつも同じだ。
 常に先手を打つ。
 それがこのシリーズを通してのマネジメントだった。

 場所を東京に移した第3戦目の試合前、工藤監督はこんなことをボソッと口にしている。

「舞台が福岡から東京に変わって流れが変わるとは思わないけど、CSファイナルの時みたいな感じかなとは思っています。先に点を取って、優位に試合を進めていけたらと思う」

 第3戦目は、先制点を与えてしまったのだが、このシリーズを通して言えたのは、ソフトバンクが相手に主導権を握られたイニングが1イニングにも満たなかったことである。

 常に先手を取ってきたし、取られたとしても、必ず次の攻撃では、同点、あるいは試合をひっくり返してきた。この粘りこそが、全ての試合を優位に進めた理由と言えるだろう。

「点を取っても取られて、取り返しても、突き放されて、なかなか、いい方向には行かなかったですね」
 
 第3戦の試合後、原辰徳監督は試合運びがうまく行っていないと感じていた。
 
 それは逆にソフトバンク側から言えば、リードをほとんど許すことがないから、自分たちのペースで試合を進めることができるのだ。積極的な采配がその一つだし、選手個々の積極的な打席でのアプローチや、このシリーズで冴えまくった甲斐拓也のリードもまた然りだった。

「第3戦のような試合展開になったら、バッテリーに遊びができるんでいいリードになりますよね。1点差だったらもっと違ったやろうし、こっちの流れの試合を作れたら、また違うと思う。逆に持って行かれているんで、相手も乗ってくる。流れの問題やと思います」

 うまく行かない試合運びに歯がゆさを感じていたのは、巨人の主砲・岡本和真も同じだった。

 自分たちのリズムで試合をしているから、プレーがどんどん積極的になり、それがプラス効果を生む。その環境を作り続けてきたからこそ、ソフトバンクは一度として、譲らなかった。

 優勝インタビューで、工藤監督はこう語っている。
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号