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侍ジャパン

山本由伸→青柳晃洋の継投“意図”。大谷翔平、最強デグロムでも起こる「相対劣化」【東京五輪】

THE DIGEST編集部

2021.07.29

大投手であるがゆえの相対劣化。逆に言えば、山本もその域に到達していることに他ならない。写真;井沢雄一郎

大投手であるがゆえの相対劣化。逆に言えば、山本もその域に到達していることに他ならない。写真;井沢雄一郎

 この韓国戦、大谷よりも速いボールを投げる投手は誰もいなかった。さらに言えば、大谷の平均球速ですら他の投手の最高に近い数字だった。そして持ち球もほぼ同じ。すると、“より凄い”ボールを見ている相手打線は、代わった投手が一気に対応しやすくなってくるのだ。

 メジャー最強投手として君臨しているジェイコブ・デグロム(ニューヨーク・メッツ)も“被害者”として有名だ。

 2年連続でサイ・ヤング賞を獲得した2018~19年の勝敗は21勝17敗、わずか4つしか勝ち越していない。援護がないのはもちろん、デグロム降板後のリリーフ防御率は6点台に達していることが勝ちを稼げない要因となっている。

 デグロムは平均球速が160キロに迫る怪物だ。球界最高のボールを見た後であれば、後に続く投手には容易に対応できるというわけである。

 話を侍ジャパンに戻そう。山本から投手を代える時、稲葉監督には今季プロ野球新記録となる39試合連続無失点を樹立した豪腕・平良海馬(西武)を起用するという選択もあったはずだ。実際、青柳が誤算に終わると、平良で火消しに動いた。
 
 しかし、ここで懸念されたのが、山本→平良という同じタイプによる「相対劣化」ではないだろうか。その一方で、青柳は同じ右投手であっても、サイドハンドという異なるタイプ。また、今季に関しては対左も被打率.209に抑えており、それを踏まえて継投したと考えると、その意図はある程度は理解できる。

 また、山本も普段のチームで「相対劣化」を経験している。例えば2020年8月18日の西武戦、7回4安打1失点(自責0)12奪三振の好投を見せたが、山本より球速の遅いヒギンスが8回に登板すると、西武打線につかまって2失点。試合も敗れた。今年も6月25日の同カード、山本は7回無失点9奪三振と好投してヒギンスに託したが、ここでも助っ人右腕が失点して白星を逃している。

 こうして過去のケースを踏まえると、異なるタイプの投手で勝負したいという稲葉監督の考えが全面的に失策だったとは思えない。ただ、青柳は先日の壮行試合でも乱調とあって、中継ぎというポジションにも不慣れな印象が否めない。適材適所という言葉がある通り、大会を戦い抜く中で、稲葉監督は選手の調子の良し悪しやタイプを見極めていく必要がある。

 初戦で経験できたことを今後の糧にできるのか。今後の起用法や戦い方に、改めて注目してみたい。

構成●THE DIGEST編集部

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