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プロ野球

やんちゃレベルは中田翔以上!?“駒沢の暴れん坊”東映フライヤーズの記憶<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.08.20

▼白仁天
 まだプロ野球がなかった頃の韓国で“至宝”と呼ばれたほどの捕手で、62年に来日。リード面に難があったことから外野手に転向し、シュアなバッティングでチームに貢献した。それだけに選球眼にも自信を持っていたのか、70年に低めの球を見逃した際のストライク判定に怒り、「あんな低いストライクがあるか!」とブチキレて何と球審を首投げ。刑事告訴されてしまい、退場どころか一大事件に発展してしまった。

 とはいえ彼も前述の山本と同じく、熱しやすく冷めやすいタイプだったらしく、翌日即座に審判の家に謝罪に赴き、その甲斐あってか示談での和解が成立。普段は好青年というのも山本と共通するところで、守備練習中に張本に褒められ、律儀に振り向いてお辞儀したところ、ボールが顔に直撃したという逸話も残っている。

▼大杉勝男
「月に向かって打て」をキャッチフレーズに、本塁打王を2度獲得したスラッガー。打撃の方ではない“パンチ力”も強く、西鉄(現西武)戦で乱闘になった際には、巨漢の助っ人カール・ボレスのアゴに右フックを見舞って一発KO。「速すぎてパンチが見えなかった」という理由で、何と退場にもならなかった。武闘派で知られた野村や張本も、「アイツが最強」と常々言っていたほどである。
 
 暴れん坊でありながら、同時に東映屈指の人気者でもあったのは、とにかくファンサービスに熱心だったから。ホームランを打った後は観客に向けて投げキッスをするのが恒例だった。さらに愛妻家でもあり、ヤクルト移籍後の78年に日本一になった際には、祝勝会に目もくれずさっさと愛する家族の待つ自宅へ帰ってしまったほど。さらに飛行機嫌いという意外な一面もあり、「移動は電車で」と球団に真剣に懇願した妙なヘタレっぷりも魅力を増幅している。

 無頼派ながら魅力的なキャラクターも備えた“駒沢の暴れん坊”軍団はファンからも人気が高かったが、残念ながら親会社が日本ハムに変わった74年頃からチームカラー刷新のため、張本や大杉が次々に放出されてしまった。昭和は遠くになりにけり。令和の時代にこのようなチームが現れることは二度とないだろう。

構成●SLUGGER編集部

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