打撃陣は福田周平、宗佑磨、吉田正尚、杉本の上位4人が固まってから、チーム状況が上向いた。特に宗と杉本の覚醒は目を見張るものがあった。宗は内野手から外野手登録にされたばかりだが、怪我で出遅れてキャンプもリハビリ組だった。しかし、オープン戦終盤で三塁手として出場。少ないチャンスをモノにしたラッキーボーイは三塁の守備でも好守を連発してゴールデン・グラブ賞最有力候補と言われるまでの存在になった。打撃でも印象に残る場面で貴重な一打を放ち、ヒーローインタビューの回数も多かった。
“ラオウ”こと杉本は、中嶋監督が「一緒に行くぞ!」と声をかけてともに一軍に上がってきたとあって、今年に懸ける思いは並々ならぬものがあった。相手ピッチャーが吉田正との勝負を避けた場面で、次の杉本がキッチリと打つため、途中からは吉田正との勝負をせざるを得ない状況が出来た。吉田正が怪我で離脱したシーズン終盤は、高卒2年目の紅林を3番に抜擢。T-岡田や安達了一やベテランも随所に持ち味を発揮して隙のない打線が生まれた。 中嶋監督は「挑戦者の気持ちを持って、全員で勝つ」ことをテーマに掲げ、チーム全員でリーグ優勝をつかみ取った。戦いはポストシーズンへと続いていく。リーグ優勝の次はもちろん、同じく96年を最後に遠ざかっていた日本シリーズ出場、そして日本一しかない。
文●どら増田
【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。
“ラオウ”こと杉本は、中嶋監督が「一緒に行くぞ!」と声をかけてともに一軍に上がってきたとあって、今年に懸ける思いは並々ならぬものがあった。相手ピッチャーが吉田正との勝負を避けた場面で、次の杉本がキッチリと打つため、途中からは吉田正との勝負をせざるを得ない状況が出来た。吉田正が怪我で離脱したシーズン終盤は、高卒2年目の紅林を3番に抜擢。T-岡田や安達了一やベテランも随所に持ち味を発揮して隙のない打線が生まれた。 中嶋監督は「挑戦者の気持ちを持って、全員で勝つ」ことをテーマに掲げ、チーム全員でリーグ優勝をつかみ取った。戦いはポストシーズンへと続いていく。リーグ優勝の次はもちろん、同じく96年を最後に遠ざかっていた日本シリーズ出場、そして日本一しかない。
文●どら増田
【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。