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プロ野球

「2021年ヤクルト」と「2015年ヤクルト」の“違い”。データやチーム状況で見る4つのポイント<SLUGGER>

勝田聡

2021.10.28

【代打陣の層の厚さ】 
 優勝年はスタメンに名を連ねる強力打線に目を奪われるが、今年の特徴は「バックアップ」も優秀だった。チームでの代打打率は2015年の.210から.256にアップ。代打打率.366(82打数30安打)を誇る前回の優勝のキーマンだった首位打者・川端慎吾を筆頭に、代打打率.313(32打数10安打)で代打出塁率.452の宮本丈。さらには中村悠平も.545(11打数6安打)と驚異的な勝負強さを見せた。 

 前回も今浪隆博が代打打率.346(26打数9安打)と結果を残したものの、その他の打者で代打打率.250を超えた選手はひとりもいなかった(代打10打席以上)。今年は前述の3人の他にも太田賢吾と松本友が代打打率.250をクリア。試合終盤での切り札となる代打陣は6年前から厚みを増した。 
 
【“クオリティ”が高まった投手陣】 
 前年にセ・リーグワースト防御率4.61を計上した投手陣は、たった一年でリーグ3位の3.45へと1点以上も大きく数字を改善させた。そして、中身も伴った“進化”であることも見逃せない。奪三振率は7.48→8.06、与四球率も3.42→2.58、被本塁打率も1.18→1.02と、投手がコントロールできるとされる3要素がいずれも良くなっており、奪三振率に至ってはリーグワースト2位からリーグベストと別のチームのようである。 

 2015年の優勝時も奪三振率は6.06にとどまっており、とにかく空振りが多く奪えていた。K%(三振数/打席数)を見ると、17.5%→21.4%と数字が上昇しているが、際立った1人の選手が数字を押し上げたわけではない。20%超えは2015年が6人だったのに対し、今年は何と15人。

 野球は三振の数を競う競技ではないが、守備の影響を基本的に受けない三振が多いに越したことはない。特に本拠地が狭い神宮球場をバックにしていることを考えると、インプレーになるリスクを避けることは大事になってくる。 

 談話ではたびたび「ゾーンで勝負する」という言葉が聞こえてくる。ストライクゾーンでしっかり勝負しながら四球を減らし、かつ多くの空振りを奪って一発も減らしていることは、積年の課題だった投手陣が力をつけてきた証と言えるだろう。 

文●勝田聡

【著者プロフィール】 
かつた・さとし/1979年生まれ、東京都出身。人材派遣業界、食品業界で従事し30代後半で独立。プロ野球、独立リーグ、MLBなど年間100試合ほど現地観戦を行っている。2016年から神宮球場でのヤクルト戦を全試合観戦中。 
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