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プロ野球

【2000~15ドラフト総検証:第1回】独自指標「プレーヤーズ・バリュー」で見る「最も活躍した選手ベスト5」<SLUGGER>

出野哲也

2022.01.01

 まずは期間中のドラフトで指名された選手のうち、最も多くのPVを記録した選手は誰なのか。上位5人を紹介しよう。

第5位:丸佳浩:322.1(2007年高校生ドラフト広島3位/現巨人)
 青木宣親(ヤクルト/317.5)、鳥谷敬(314.1)、鈴木誠也(広島/313.2)、中島裕之(巨人/305.5)、糸井嘉男(阪神/304.3)、浅村栄斗(楽天/299.9)らを上回っての5位だ。レギュラーになった11年以降は常にPV5.0以上で、MVPを受賞した17年は46.2でリーグ1位。自己最多の39本塁打を放ち、2年連続MVPとなった18年は66.1で2位に入った。

 打撃三冠の獲得はないが、四球が多く出塁率が高いのが一番の特徴で、18年も130四球を選んだことが自己最多のPVにつながった。19年に巨人へFA移籍してからは成績が下降気味ながら、21年は22.5とそれでも一流の数字を保ち続けている。

第4位:柳田悠岐:446.0(2010年ソフトバンク2位)
 地方大学リーグ(広島六大学)出身ということもあり、指名当時は目玉級の評価ではなかった。だが、14年から7年連続出塁率4割以上、15年からは長打率も7年連続5割以上で、OPS1.000以上を4度も記録している。

 PVは首位打者&トリプルスリーを達成した15年の87.2が自己ベスト。18年も71.0、20年も67.9と驚異的な高水準で、計4度リーグ1位となっている。故障で38試合しか出なかった19年を除くと、ここ8年間必ず2位以内に入っており、今オフの契約更改で日本人野手史上最高額となる年俸6億2000万円を得たのも納得だ。

第3位:山田哲人:495.7(2010年ヤクルト1位)
 10年のドラフトで“外れ外れ1位”だったのは有名。だが、ヤクルトが最初に入札した斎藤佑樹(早稲田大→日本ハム)は通算PV-43.2、次いで指名した塩見貴洋(八戸大→楽天)も-27.6で、まさに禍転じて福だった。

 正二塁手に定着した14年にPV68.7で1位になると、翌15年は38本塁打と34盗塁はいずれも1位、打率も.329でトリプルスリー。PV98.5は、73年に王貞治が記録した史上最高の98.6にわずか0.1点差だった。MVP受賞はこの年だけだが、16年もPV81.7で3年連続トップ。18年も84.3で4度目の1位を獲得し、通算495.7はすでに二塁手史上最高の数字となっている。

第2位:坂本勇人:533.5(2006年巨人1位)
 山田と同じく「クジに外れて大正解」となった例。巨人が最初に1位指名したのは堂上直倫(愛工大名電高)だったが、中日入りした堂上は打撃面で伸び悩んで通算PV-71.2、プラスだった年は一度もない。対照的に外れ1位の坂本は、3年目の09年以降は最低でも19.1以上をキープした。

 守備力が重要視される反面、打力に乏しい選手が守ることも多い遊撃手では破格の攻撃力を持ち、打率.344で首位打者にもなった16年は自己最多のPV79.3を記録した。19年も73.3で初のリーグ1位となり、この年は遊撃手史上2人目の40本塁打でMVPを受賞。通算533.5はプロ野球史上9位にランクされている。

第1位:阿部慎之助:664.3(2000年巨人1位)
 通算PVは坂本を130ポイントも上回り、2000年以降では突出した数字であるだけでなく、プロ野球史上でもこれを上回るのは王、野村克也、張本勲、長嶋茂雄、落合博満の5人だけ。

 守備面で最も負担が重く、遊撃手以上に打撃が考慮されないケースが多い捕手でありながら、強打者揃いの巨人打線で中軸を任される打力を維持していた。2年目の02年に45.1を記録して以降、13年までの12年間でPV30未満は1年だけ。打率.340で首位打者になった12年に自己最多の93.3を記録、09、10年に次いで3度目のリーグ1位となった。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球「ドラフト」総検証1965-』(いずれも言視舎)。
 

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