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プロ野球

【プロ野球トレード収支の大検証:第1回】独自指標「プレーヤーズ・バリュー」で考えるトレードの「収支」

出野哲也

2021.01.01

09年オフに二岡(写真)らを獲得したトレードで、日本ハムが得た収支は「+1.9点」だった? 写真:産経新聞社

09年オフに二岡(写真)らを獲得したトレードで、日本ハムが得た収支は「+1.9点」だった? 写真:産経新聞社

 トレードの成功・失敗はどのように判断すればいいのか。交換した選手同士が、いずれも移籍先で活躍するのは“理想的なトレード”かもしれないが、獲得した選手が放出した選手の成績を下回っていたら、その球団にとって成功とは言えない。

「成功したトレード」を決めるには基準が必要だ。投手と野手の交換トレードが成立し、投手が次の年10勝、野手が20本塁打したとして、どちらが得をしたのか一見しただけでは分からない。野手同士でも出した選手が打率3割、取った選手が30本塁打だったとき、優劣は判断しづらい。だが、投手と野手で共通の評価基準があれば、判断は可能になる。

 メジャーリーグでは、守備や走塁も含めた選手の総合的な勝利貢献度を示すWARという指標が開発されていて、日本でも計算はされている。けれども、過去の詳細な守備成績は入手できないため、古い時代と現代の選手の正確な比較は難しい。
 
 そのため、ここでは野手を平均よりどれだけ多くの得点を稼ぎ出したかを示すRCAA、投手は平均よりどれだけ多くの点を防いだかを示すPRというセイバーメトリクスの指標を使い、これを総合した数値を「プレーヤーズ・バリュー(PV)」と名付けて評価基準とした。なお、RCAAは守備力が考慮されない攻撃力だけの指標なので、PVに変換するにあたっては、過去の打撃成績を参考にして守備位置ごとの“得点創出難易度”を割り出し、以下のような補正をかけた。

捕手1.24、一塁手0.87、二塁手1.10、三塁手0.97、遊撃手1.13、左翼手0.93、中堅手0.97、右翼手0.97、指名打者0.83

 これは、RCAAの数値が同じでも、守備の負担が大きい捕手が稼ぎ出す数値には1.24倍の価値があり、守備の負担が少ない一塁手は0.87倍の価値しかないことを示す。この作業により、守備面もある程度反映させられる。

 PVを用いることで投手と野手を同一の基準で評価できるし、今と昔の選手の比較もできる。これをトレードで移籍した選手に応用すれば、移籍後のPVを計算することで、トレードの損得を数字として表すことができる。
 
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