豊作のチームがあれば、当然不作のチームもある。豊作の判断基準は合計値で判断できるが、不作は単にマイナスPVが最も多かったチーム、ということにはならない。なぜかと言えば、第1回で述べたように、PVはリーグ平均の選手と比較した数字であって、マイナスだからといって、必ずしもチームに損失をもたらしたことを意味しないからだ。
一軍で多くの試合に出場した結果、マイナスになることもある。そういった選手が一軍の試合に出られず「PVがマイナスになる機会」すらない選手に比べれば、実力が上であるのは言うまでもない。
したがって「一番の不作」をPVで判断するには、一軍出場数の総数が少なく、なおかつPVが低いチーム、ということになる。その条件に最も合致したのが次の3チームだ。
▼ワースト3位:01年横浜(255試合、合計PV0.5)
指名した5人全員が一軍出場を果たしたものの、最も多い小田嶋政邦(2位)でも通算105試合(横浜在籍時)にしか出ていない。PVは田崎昌弘(5位)が0.3、9試合に投げただけの千葉英貴(6位)が0.2で、合わせてプラスは0.5でしかなかった。
▼ワースト2位:03年広島(249試合、PV1.2)
指名選手4人全員が一軍で出場し、特に4位の尾形佳紀は2年目に打率.303/PV10.0と活躍した。ところが右ヒザの度重なる故障によって大成できず、プロ生活は6年、通算147試合/PV1.2で終わってしまった。
1位指名の白濱裕太はまだ現役だが、18年間で通算86試合に出たのみ(PV-7.7)。2位指名の比嘉寿光も8試合のみの出場で、ともに通算2000安打を達成した早稲田大の同期だった青木宣親、鳥谷敬に大きく水をあけられてしまった。
▼ワースト1位:14年ヤクルト(105試合、PV0.0)
スワローズファンはもちろん、他球団のファンからも「暗黒ドラフト」と呼ばれているのがこの年。指名した8人中3人は一軍未出場のまま引退。残りの5人のうち4人が10試合未満、全員合わせて出場105試合でプラスPVも皆無だった。
即戦力との触れ込みだった1位の竹下真吾(ヤマハ)は二軍ですら好成績を残せずわずか3年で戦力外。ただ一人、一軍出場試合数が2ケタに達した2位指名の風張蓮も88試合に登板して2勝/PV-21.4で20年限りで退団したことで、ドラフトからわずか6年で全員がチームを去ってしまった。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球「ドラフト」総検証1965-』(いずれも言視舎)。
一軍で多くの試合に出場した結果、マイナスになることもある。そういった選手が一軍の試合に出られず「PVがマイナスになる機会」すらない選手に比べれば、実力が上であるのは言うまでもない。
したがって「一番の不作」をPVで判断するには、一軍出場数の総数が少なく、なおかつPVが低いチーム、ということになる。その条件に最も合致したのが次の3チームだ。
▼ワースト3位:01年横浜(255試合、合計PV0.5)
指名した5人全員が一軍出場を果たしたものの、最も多い小田嶋政邦(2位)でも通算105試合(横浜在籍時)にしか出ていない。PVは田崎昌弘(5位)が0.3、9試合に投げただけの千葉英貴(6位)が0.2で、合わせてプラスは0.5でしかなかった。
▼ワースト2位:03年広島(249試合、PV1.2)
指名選手4人全員が一軍で出場し、特に4位の尾形佳紀は2年目に打率.303/PV10.0と活躍した。ところが右ヒザの度重なる故障によって大成できず、プロ生活は6年、通算147試合/PV1.2で終わってしまった。
1位指名の白濱裕太はまだ現役だが、18年間で通算86試合に出たのみ(PV-7.7)。2位指名の比嘉寿光も8試合のみの出場で、ともに通算2000安打を達成した早稲田大の同期だった青木宣親、鳥谷敬に大きく水をあけられてしまった。
▼ワースト1位:14年ヤクルト(105試合、PV0.0)
スワローズファンはもちろん、他球団のファンからも「暗黒ドラフト」と呼ばれているのがこの年。指名した8人中3人は一軍未出場のまま引退。残りの5人のうち4人が10試合未満、全員合わせて出場105試合でプラスPVも皆無だった。
即戦力との触れ込みだった1位の竹下真吾(ヤマハ)は二軍ですら好成績を残せずわずか3年で戦力外。ただ一人、一軍出場試合数が2ケタに達した2位指名の風張蓮も88試合に登板して2勝/PV-21.4で20年限りで退団したことで、ドラフトからわずか6年で全員がチームを去ってしまった。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球「ドラフト」総検証1965-』(いずれも言視舎)。
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