メジャー通算打率.263に対して出塁率は.377。たしかに、ジェレミーの選球眼は一流だった。ただ、結局は兄のような成功は収められなかった。メジャー6年間で4球団に在籍したが、どのチームでも準レギュラーにとどまった。
守備と走塁が大の苦手(ジェレミーが外野で打球を追う姿を『マネーボール』は「狂犬から逃げまどう郵便配達人のよう」と形容した)だった点もあるが、なによりも素行面の問題がチームを渡り歩く原因となった。
兄と同じようにステロイドも使っていただけでなく、マリファナ不法所持で逮捕されるなど、トラブルも絶えなかった。映画版『マネーボール』では、チームの敗戦後にもかかわらず、クラブハウスで大音量の音楽を流して呑気に踊るジェレミーに、ビリー・ビーンが激怒する場面がある。
引退後はプライベートレッスンで子どもたちに打撃を指導していたというジェレミー。2年前に掲載された米メディア『The Athletic』の記事によると、子どもの保護者から“ザ・フリップ”について尋ねられた時は「それも俺の人生の一部だ。いいことであれ悪いことであれね」と言っていたという。
一方、同じ記事内で、01年当時にアスレティックスの指揮を執っていたアート・ハウは“ザ・フリップ”について、次にように語っている。
「数年前、テレビであのプレーを見たが、私は今でも彼はセーフだったと思う。ジェレミーが気の毒だよ。本当にね。彼はこのことでひどい仕打ちを受けた。実にアンフェアだ。心からそう思う」
豪放な人間の多くがそうであるように、ジェレミーも豪快な外面の下に繊細な一面を持っていたようだ。元チームメイトのバリー・ジーとは訃報に際し、こんなコメントを残している。
「彼は、とても繊細な心を持った、信じられないほど愛情深い人間だった。心の奥深くで何かと闘っていたことは、僕たちチームメイトには明らかだった」
構成●SLUGGER編集部
守備と走塁が大の苦手(ジェレミーが外野で打球を追う姿を『マネーボール』は「狂犬から逃げまどう郵便配達人のよう」と形容した)だった点もあるが、なによりも素行面の問題がチームを渡り歩く原因となった。
兄と同じようにステロイドも使っていただけでなく、マリファナ不法所持で逮捕されるなど、トラブルも絶えなかった。映画版『マネーボール』では、チームの敗戦後にもかかわらず、クラブハウスで大音量の音楽を流して呑気に踊るジェレミーに、ビリー・ビーンが激怒する場面がある。
引退後はプライベートレッスンで子どもたちに打撃を指導していたというジェレミー。2年前に掲載された米メディア『The Athletic』の記事によると、子どもの保護者から“ザ・フリップ”について尋ねられた時は「それも俺の人生の一部だ。いいことであれ悪いことであれね」と言っていたという。
一方、同じ記事内で、01年当時にアスレティックスの指揮を執っていたアート・ハウは“ザ・フリップ”について、次にように語っている。
「数年前、テレビであのプレーを見たが、私は今でも彼はセーフだったと思う。ジェレミーが気の毒だよ。本当にね。彼はこのことでひどい仕打ちを受けた。実にアンフェアだ。心からそう思う」
豪放な人間の多くがそうであるように、ジェレミーも豪快な外面の下に繊細な一面を持っていたようだ。元チームメイトのバリー・ジーとは訃報に際し、こんなコメントを残している。
「彼は、とても繊細な心を持った、信じられないほど愛情深い人間だった。心の奥深くで何かと闘っていたことは、僕たちチームメイトには明らかだった」
構成●SLUGGER編集部