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高校野球

マエケンやパ最優秀中継ぎを抑えて1位になったのは、ロッテの右腕!【西尾典文が選ぶ『最もコントロールが良かった高校生5人』】<SLUGGER>

西尾典文

2022.02.24

2位:前田健太(PL学園→06年高校生ドラフト1位広島) 

 高校1年夏から登板を見る機会は多かったが、本格化したと感じたのは2年春に行われた日大三との練習試合だ。ほとんどのボールが低めに集まり、投げ損じの少なさに驚かされたのをよく覚えている。

 とくに印象的だったのが、インコースへの投球だ。 捕手が内角のストライクゾーンぎりぎりに構えることが何球も続くこともしばしばあり、ネット裏で見ているスカウトやファンからも「まだ内角行くのか……」という声が漏れたこともあった。高校時代はまだ線が細く、ボールの力は田中将大(駒大苫小牧→楽天)、大嶺祐太(八重山商工→ロッテ)、増渕竜義(鷲宮→ヤクルト)の方が上だったが、コントロールに関しては前田が頭ひとつ抜けた存在だった。 
 
1位:二木康太(鹿児島情報→13年ドラフト6位ロッテ) 

 前田を抑えて1位に選んだのが、現在ロッテで活躍している二木だ。その投球を見たのは17年夏の鹿児島大会・対喜界戦。当時のプロフィールは187センチ、73キロとなっており、第一印象はとにかく細いというものだったが、投げ始めてすぐに評判になっていることがよく分かった。とにかく捕手のミットが構えた位置から動かないのだ。 

 フォームは少しギクシャクしたところがあったが、左肩がぎりぎりまで開かず、小さいテイクバックでコンパクトに縦に腕が振れるため、左右にボールがぶれることは皆無。ちなみに、この時のストレートの最速は137キロとドラフト候補としては物足りない数字だったが、それでも支配下での指名(6位)を勝ち取ったのは将来性と高い制球力の賜物と言えるだろう。 

 他に候補として考えた選手としては大谷智久(報徳学園)、大原慎司(明秀日立)、唐川侑己(成田)、野村亮介(静清)、飯田晴海(常総学院)、田口麗斗(広島新庄)、奥川恭伸(星稜)、根本悠楓(苫小牧中央)、笠島尚樹(敦賀気比)、小園健太(市和歌山)などの名前が挙がる。

 このなかでは根本が今年のキャンプで頭角を現しつつあるが、高校3年夏の投球はやはり高校生離れしたものがあった。根本以外にも堀、大塚、大谷、大原、田口など上背がなくてもプロになっている選手も多いが、やはり制球力が高く評価された結果と言えそうだ。 

文●西尾典文 

【著者プロフィール】 
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。 

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