専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

広島・野村の制球力は大学時代からピカイチ! 大久保ら現役社会人からも厳選【西尾典文が選ぶ『最もコントロールが良かった大学・社会人投手5人』】<SLUGGER>

西尾典文

2022.02.24

2位:大久保匠(明治安田生命) 

 明治大の4年間でリーグ戦登板わずか5試合と目立つ選手ではなかったが、明治安田生命に進んでから大きく成長。今でもエース格として活躍している。いつ見ても感心させられるのがフォームの安定感だ。上半身に無駄な力がまったく入っておらず、ストレートも変化球もなぞるような同じ動きで投げることができる。 

 スピードは速くても140キロ台前半で、ここ数年は130キロ台後半が多くなっているが、甘いボールは少なく、緩急を上手く使いながら打者にフルスイングを許さないピッチングは安定感抜群。19年には都市対抗で4安打完封勝利をマークしている。今年で32歳となるが、まだまだチームの主戦として期待がかかる。 
 
1位:佐伯尚治(西濃運輸) 

 コントロール自慢の多い社会人投手のなかでも、自分が見てきた投手でナンバーワンと言えるのが佐伯だ。九州産業大4年時にはエースとして明治神宮大会で優勝。西濃運輸でも長くエースとして活躍し、14年にはチームを都市対抗優勝に導き、自身もMVPに当たる橋戸賞を受賞している。 

 テイクバックの小さい独特のサイドスローが特徴で、例えとして適切ではないかもしれないが、碁盤に石を置いていくように的確にストライクをとり、簡単に打者を打ちとっていた。左右、高低、緩急も自在で、ボールの力がなくても工夫したフォームと制球力で抑えられるお手本と言える投手である。16年限りで引退し、今年からは監督に就任したが、第二の佐伯と言われるような投手を輩出してくれることを期待したい。 

 他にも大学生では多田野数人(立教大)、菅井聡(立正大)、小川泰弘(創価大)、菅野智之(東海大)、有原航平(早稲田大)、東克樹(立命館大)、青島凌也(東海大)、村上頌樹(東洋大)、赤星優志(日本大)、社会人では森福允彦(シダックス)、坂本保(Honda)、石田祐介(日産自動車)、濱野雅慎(JR九州)、川脇輝生(東海理化)、木村佳吾(セガサミー)、牧田和久(日本通運)、野口亮太(鷺宮製作所)、大竹飛鳥(NTT東日本)、堀誠(NTT東日本)などがコントロールの良い投手として強く印象に残っている。

 大久保、野口、大竹、堀は社会人でまだまだ現役だけに、今年もその高い制球力にぜひ注目してもらいたい。 

文●西尾典文 

【著者プロフィール】 
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。 

【関連記事】【西尾典文が選ぶ『最もすごいストレートを投げた高校生5人』】“令和の怪物”佐々木に加えて意外な顔ぶれが<SLUGGER>

【関連記事】【どこよりも早い2022ドラフト候補ランキング:1~10位】二刀流の大器・矢沢を含めトップ3は大学生<SLUGGER>

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号