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プロ野球

天然右腕、甲子園の元スター…トライアウトに挑んだ男たちが語った野球への愛【NPB12球団合同トライアウト】

萩原孝弘

2019.11.13

登板後取材を受ける元阪神の歳内宏明。高校時代はスター選手だった。写真:萩原孝弘

登板後取材を受ける元阪神の歳内宏明。高校時代はスター選手だった。写真:萩原孝弘

 高校野球界を沸かせた甲子園のスター、歳内宏明(元阪神)もトライアウトを受けた。

 聖光学院高時代は2年時から甲子園で活躍。魔球と怖れられたスプリットを武器に、広陵の有原航平(日ハム)、履正社の山田哲人(ヤクルト)、興南の島袋洋奬(元ソフトバンク)、金沢の釜田佳直(楽天)らと好勝負を繰り広げ、11年に阪神へドラフト2位で入団した。地元が兵庫出身とのこともあり、大きな期待を集めていた。

 14年にプロ入り初勝利を挙げたものの、甲子園を沸かせたスプリッターはプロでは冴えず、17年に右肩に違和感を覚えてからは一軍に昇格できず。その年オフに育成契約となり、今オフに戦力外宣告を受けた。
 
 果たしてトライアウトは、大河(元DeNA)にセンター前ヒットを浴びるも、続く橋本到(元楽天)をセンターフライ、岸里亮佑(元日ハム)を三振に打ち取り、観客からは大きな拍手が送られた。

 歳内は「タイガースのユニフォームを着るのは最後。楽しんで投げられた」と語ると、元所属球団に対して感謝の弁を綴った。

「怪我で一時期は投げられなかった。3年半も一軍にいられなかった。約1年半も投げられない中、(球団は)ここまで待ってくれた。怪我中にクビだとトライアウトも受けられなかった。(プロでの)8年間は悔しい想いのほうが多いけど、成長させてもらった」。

 投球については手応えを感じたようで、それは登板後のインタビューの笑顔からも感じ取れた。さらに、歳内は前向きに語った。

「身体は元気。辞めることは簡単。これからもチャレンジしていきたい」

 トライアウトでの合格者は15年は47人中4人、16年が65人中3人、17年は51人中2人、昨年は48人中3人と非常に狭き門になっている。

 今年から合格者には、5日以内に連絡が入ることとなった。43人が挑戦した本年度のトライアウト。この中から一体、何人の選手が“最後”の夢をつかむことができるのか、注目して待ちたい。

取材・文●萩原孝弘(ライター兼カメラマン)
【著者プロフィール】
はぎわらたかひろ。1971年、横浜生まれ横浜育ち。フリーとして野球はベイスターズを担当。プロレス、格闘技とともに芸能も手掛ける。

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