専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

スミスは移籍、アブレイユは残留――クオリファイング・オファーを受けたFA選手それぞれの決断

宇根夏樹

2019.11.19

 そうすることで、アブレイユとしては昨オフのクレイグ・キンブレル(現カブス)とダラス・カイケル(現FA)のような羽目に陥らずに済む。2人は昨オフにQOを拒否したはいいが、思うような条件を得られず、6月のドラフト後まで所属球団が決まらなかった(ドラフト後ならQO選手と契約しても指名権を失わずに済む)。ホワイトソックスにとっても、他球団にアブレイユが流出したり、競合となって値段が高騰するリスクを避けられるというメリットがある。

 ちなみに、自己ベストの15勝を挙げてツインズのリーグ優勝に貢献したジェイク・オドリッジもQOを受け入れて残留が決定。明らかにキンブレルやカイケルの二の舞を避けるためにQOを呑んだ格好だ。
 MLBのFA制度は、選手会とオーナー側が交わす労使協定が見直されるごとにマイナーチェンジを繰り返している。QO制度は17年から導入されたものだが、ドラフト指名権と紐付けられることによって、オファーを得られない選手が出ており、選手会が次回の交渉で見直しを求めるのは間違いない。今回、QOを拒否した選手はスミスの他に7人。キンブレルやカイケルのような“QO貧乏”が出ないことを祈るばかりだ。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号