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プロ野球

【2019総括・DeNA】ラミレス采配が奏功して躍進。課題は登板過多のブルペン運用と筒香の後継者

石塚隆

2019.12.11

▶2019年を“象徴”する試合
5月25日/DeNA6-5阪神/横浜スタジアム
神 |000 000 005|5
De|000 015 000|6
[勝]上茶谷大河(2-3-0)
[敗]メッセンジャー(2-5-0) 
[S]山﨑康晃(1-1-6)
[本]神:糸井嘉男(3)

 今季もDeNAにとって天敵となった阪神。対戦成績は8勝16敗1分と、CSでの敗退も含めてカモにされた。しかしながら今季、チーム浮上のきっかけをつかんだのも阪神戦だった。
 
 5月25日、横浜スタジアム。DeNAは阪神に対してここまで7連敗を喫しており、先発は大の苦手としていたメッセンジャーだった。この日、制球が定まらず9与四死球と苦しんだ天敵右腕を相手に、DeNAは筒香嘉智とロペスの連続適時打などで6点を奪う。先発の上茶谷が好投するも、9回表に1点差まで詰め寄られるなど危ない場面も見られたが、何とか粘って過去7連敗していたメッセンジャーに競り勝った。
 
 天敵である阪神とメッセンジャーの攻略。試合後のラミレス監督の安堵の表情や、バックヤードから漏れ聞こえてきた選手たちの盛り上がりは今でも耳に残っている。

 この試合以降、DeNAは阪神に6勝8敗1分と好勝負を演じられるようになり、また借金9と下位に沈んでいたチームは、交流戦で勝ち越すなど力をつけて波に乗り、7月には優勝争いをするようになっていった。
 
▶来季のキーマン
佐野恵太

 言うまでもなく、来季のDeNAの大きなテーマは現在ポスティング申請中の筒香嘉智の穴をいかに埋めるか。そこで、左の長距離砲候補として注目したいのが、来季4年目を迎える佐野恵太だ。
 
 今季3月31日の中日戦での代打サヨナラ安打を皮切りに、初めて1年間を一軍に帯同。89試合(スタメンは45試合)に出場して打率.295、得点圏打率.367とまずまずの数字を収めている。
 
 特筆すべきは、勝負強さと安定したフォームからなるスウィングだ。ラミレス監督いわく「始動からボールを捉えるまでのスウィングスピードとタイミング、インサイドアウトによるレベルスウィングはチームトップクラス」と太鼓判を押す。
 
 今季序盤は左投手が打てず苦しみ、結果的に31打数と少なかったものの、打率.258と手応えを感じつつシーズンを終えている。また興味深いのは今季、筒香が2番に入った際、佐野は11試合で4番を任されたことだ。大事な打順であり誰もが委縮し調子を崩しがちだが、佐野は38打数で.316と結果を出している。このメンタルの強さにも期待したい。本人に「来季は4番を狙いますか?」と尋ねた際、「はい!」と力強く答えてくれた姿も印象的だった。
 
 5本塁打、OPS.765という、クリーンアップとはまだ呼べない数字をどこまで引き上げることができるか。ライバルには細川成也や楠本泰史など長打力を誇る若手外野手たちがいる。群雄割拠のサバイバルゲームを勝ち残るのは、果たして……?

文●石塚隆(フリーランスライター)

【著者プロフィール】
いしづか・たかし/1972年、神奈川県生まれ。プロ野球などスポーツを中心に、社会、サブカルチャーなど多ジャンルにわたり執筆するフリーランスライター。『Number』をはじめ『週刊プレイボーイ』『web Sportiva』『ベースボールチャンネル』などに寄稿。現在『Number Web』にて横浜DeNAベイスターズに関するコラム『ハマ街ダイアリー』を連載中。

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