▶収穫と誤算
“セ・リーグを制した経験”――。巨人の収穫はこれに尽きるだろう。
最後に優勝した2014年から早5シーズン。15年オフの高橋由伸監督就任に始まり、昨オフにも山口鉄也と西村健太郎が引退、長野久義と内海哲也も人的保障でチームを去るなど新陳代謝を繰り返した結果、今季の主力でリーグ制覇を経験している生え抜き選手は、両手で足りるほどしかいなくなっていた。
そんな状況下で、原辰徳監督が4年ぶりに指揮官に復帰。監督としてチームを7度の優勝、3度の日本一に導いた名将の下、若手たちに“勝者のメンタリティ”を植え付けられたのは非常に大きかった。多くの選手が初舞台となった日本シリーズでは、守備や走塁でミスが目立つなど経験不足を露呈したとはいえ、この苦い敗戦を含め、すべてが来季以降の糧となるはずだ。
選手個々に目を向けると、投手陣では澤村拓一が復活し、中川皓太はリリーフエースとして一本立ち。6月に加入したデラロサも、圧巻のピッチングで方程式の一角を担った。また、半ば構想外だった大竹寛を火消し役として再生させたことは、首脳陣最大のファインプレーと言えるだろう。そのほか、田口麗斗や高木京介らもブルペンを支え、救援防御率は昨季の4.12から3.68に改善。決して盤石ではなかったが、課題のブルペンをある程度、整備できたのは好材料だ。
ただ、エース菅野智之の不振は最大の誤算だった。腰痛による離脱を繰り返し、マウンドに立っても不安定な投球に終始。キャリアで初めて規定投球回に届かず、防御率も3.89と大きく期待を裏切ってしまった。
代わって先発陣の柱となったのが、投手三冠に輝くなど自己最高のシーズンを送った山口俊。さらに桜井俊貴や髙橋優貴、戸郷翔征など、次世代を担うヤングタレントが台頭したのも明るい話題だった。
打撃陣では坂本勇人の2番起用がハマり、40本塁打を放ってMVPを受賞。新加入の丸佳浩も攻守で期待通りの活躍を見せ、岡本和真も序盤戦は苦しんだものの徐々に調子を上げて主砲の役割を果たした。夏場以降にリードオフに定着した亀井善行を含め、1~4番の上位打線は他球団の脅威となっていた。
一方で、5番以降の打線は迫力不足。阿部慎之助はさすがの打棒を披露するも、ビヤヌエバは不発に終わり、ゲレーロも調子の波が激しく計算しづらかった。捕手の大城卓三をファースト起用して5番に据えたこともあったが、打力が求められる一塁手としてはやや物足りない数字だった。
また、開幕11試合で打率.390と好調だった吉川尚輝が腰痛で離脱したのも痛かった。代役を務めた山本泰寛、若林晃弘、田中俊太らは散発的な活躍に終わり、結局今季もセカンドを固定できず。吉川のポテンシャルは誰もが認めるところだけに、故障体質を克服できれば“二塁手問題”は一気に解決するのだが……。
“セ・リーグを制した経験”――。巨人の収穫はこれに尽きるだろう。
最後に優勝した2014年から早5シーズン。15年オフの高橋由伸監督就任に始まり、昨オフにも山口鉄也と西村健太郎が引退、長野久義と内海哲也も人的保障でチームを去るなど新陳代謝を繰り返した結果、今季の主力でリーグ制覇を経験している生え抜き選手は、両手で足りるほどしかいなくなっていた。
そんな状況下で、原辰徳監督が4年ぶりに指揮官に復帰。監督としてチームを7度の優勝、3度の日本一に導いた名将の下、若手たちに“勝者のメンタリティ”を植え付けられたのは非常に大きかった。多くの選手が初舞台となった日本シリーズでは、守備や走塁でミスが目立つなど経験不足を露呈したとはいえ、この苦い敗戦を含め、すべてが来季以降の糧となるはずだ。
選手個々に目を向けると、投手陣では澤村拓一が復活し、中川皓太はリリーフエースとして一本立ち。6月に加入したデラロサも、圧巻のピッチングで方程式の一角を担った。また、半ば構想外だった大竹寛を火消し役として再生させたことは、首脳陣最大のファインプレーと言えるだろう。そのほか、田口麗斗や高木京介らもブルペンを支え、救援防御率は昨季の4.12から3.68に改善。決して盤石ではなかったが、課題のブルペンをある程度、整備できたのは好材料だ。
ただ、エース菅野智之の不振は最大の誤算だった。腰痛による離脱を繰り返し、マウンドに立っても不安定な投球に終始。キャリアで初めて規定投球回に届かず、防御率も3.89と大きく期待を裏切ってしまった。
代わって先発陣の柱となったのが、投手三冠に輝くなど自己最高のシーズンを送った山口俊。さらに桜井俊貴や髙橋優貴、戸郷翔征など、次世代を担うヤングタレントが台頭したのも明るい話題だった。
打撃陣では坂本勇人の2番起用がハマり、40本塁打を放ってMVPを受賞。新加入の丸佳浩も攻守で期待通りの活躍を見せ、岡本和真も序盤戦は苦しんだものの徐々に調子を上げて主砲の役割を果たした。夏場以降にリードオフに定着した亀井善行を含め、1~4番の上位打線は他球団の脅威となっていた。
一方で、5番以降の打線は迫力不足。阿部慎之助はさすがの打棒を披露するも、ビヤヌエバは不発に終わり、ゲレーロも調子の波が激しく計算しづらかった。捕手の大城卓三をファースト起用して5番に据えたこともあったが、打力が求められる一塁手としてはやや物足りない数字だった。
また、開幕11試合で打率.390と好調だった吉川尚輝が腰痛で離脱したのも痛かった。代役を務めた山本泰寛、若林晃弘、田中俊太らは散発的な活躍に終わり、結局今季もセカンドを固定できず。吉川のポテンシャルは誰もが認めるところだけに、故障体質を克服できれば“二塁手問題”は一気に解決するのだが……。