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侍ジャパン

盗んだのは塁だけじゃない――勝手が違った国際舞台で周東佑京が得た収穫

藤原彬

2019.11.24

「緊張を最大限までもっていって。出たら、出たとこ勝負じゃないですか。開き直ってましたね」

 大会が進むごとに、表情には険しさが増した。信条のリラックスとは逆に、これ以上ないまで気持ちを高めて、あとは最大の売りである「足」に結果を委ねた。

 緊迫した場面でこそ、持ち味が際立つ。最大の見せ場はオープニングラウンドのオーストラリア戦だ。

 1点を追う7回無死一塁で代走として出場すると、二盗、三盗を決めて、源田壮亮のセーフティースクイズで本塁へ突入。捕球した投手がタッチにきたグラブをひらりとかわして、同点のホームを踏んだ。
 
 大会後に来年開催の東京オリンピックについて語った稲葉篤紀監督は走塁のスペシャリストの存在を「やっぱり必要なのではないかと考えるものにはなった」と位置づけている。

 とはいえ、今季ペナントレースのスタメン出場は22試合で、チームでもまだレギュラーの立場ではない。それだけに、各球団の主軸選手たちとともに過ごして得たものは多かったようだ。大会期間中の練習では、チームメイトとプレーについて話し込んでいる姿がよく見られた。

「バッティングだったら全部、僕のなかでは参考になると思いました。源田さんなら守備、哲人さんならどういう盗塁の仕方をしているというのも教えていただいて」

 侍ジャパン招集から1か月近くに及ぶ戦いを終え、来季を見据えた表情は確かな成長を感じさせるものだった。

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文●藤原彬

ふじわら・あきら/1984年生まれ。『スラッガー』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。

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