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プロ野球

1148日の苦闘を乗り越えた才木浩人を同僚たちはどう見たか? 虎の正妻・梅野隆太郎が明かした“忘れられない言葉”とは

チャリコ遠藤

2022.07.14

才木を頼もしくリードし、勝利を手繰り寄せた梅野。この虎の正捕手も2軍で若き右腕の苦闘を見守ってきた(写真は去年のもの)。(C)THE DIGEST

才木を頼もしくリードし、勝利を手繰り寄せた梅野。この虎の正捕手も2軍で若き右腕の苦闘を見守ってきた(写真は去年のもの)。(C)THE DIGEST

 マスクを被った梅野隆太郎は、後輩の感情をくみ取るように序盤からストレートのサインを出し続け、ワンバウンドのフォークを何度も身を挺して止めた。3回には自慢の強肩で二盗を阻止して、“女房役”として支えた。

 そんな梅野には自身が故障で2軍調整を余儀なくされていた5月、すでに実戦復帰していた才木と交わした忘れられない言葉がある。

「才木が“野球が楽しい”って言っていて。そこから配球の話を2人でずっとしてね。だからまた1軍であいつのボールを受けるのがすごい楽しみで」

 高卒2年目の2018年に6勝を挙げるなど将来のエース候補として台頭した時も知る正妻は、たくましくなって舞い戻った背番号35のボールを喜びを持って受け止めていた。

 才木の復帰を嬉々として見つめるのは、この日、グラウンドに立っていた者だけではない。その頃、テレビ画面から“同志”の力投を見守っていたのは12年目の島本浩也だ。彼は2年前に、同じ場所、同じ日にトミー・ジョン手術を受けていた。ただ、術後、ほとんど停滞せずに実戦までこぎつけた才木とは対照的に29歳の左腕のリハビリは一進一退。ボールを投げると痛みがぶり返し、今年2月にマウンドに上がった後輩から遅れること3か月、5月下旬にようやく復帰していた。
 
 遅れを心配する声は数え切れないほど耳に入ってきていたが、「『焦りとかないの?』とかはいろんな人に聞かれました。でも、自分はそんなことも思っていなくて、才木があれだけ投げていたので僕もいけると良い意味で信じ込ませていた。先に投げてくれていて、すごく励みになっていたので」と本人に焦りは全くなかった。追いかけるのではなく「道標」にしていた。だからこそ、大きな手術を克服して1軍のマウンドで躍動する姿も、島本にとっては復活への未来図になる。

 何より、次代のエースとして期待されてきた才木自身にとって大きな一歩だ。試合中にベンチで矢野燿弘監督から「どうや?」と声をかけられ、「楽しいです!」と即答した。指揮官は、暗闇の中から光ある場所へ帰ってきた右腕を「また新しいスタートとしてやっていけばいい。あいつにとっては良いスタートになったと思う」と称えた。

 白星から一夜明けた才木は「投げるフォームとか見直さないといけないところもありますし。次は中継ぎの負担を少なくしたいですし、7回くらいまで先発として投げられたら」と充実感を漂わせた。その表情は“次”がある幸福をかみしめているようだった。

取材・文●チャリコ遠藤

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