専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

【データで見る「後半戦要注目選手】パ・リーグ編】不運に見舞われたオリックス・宮城。悩める助っ人も今後は上向くはず<SLUGGER>

DELTA

2022.07.28

●レオネス・マーティン(ロッテ)
225打席 打率.161 7本塁打 21打点 OPS.600

 前半戦、ロッテの主砲マーティンは大不振に見舞われた。打率は.161に低迷、昨季まで.850前後で安定していたOPS(出塁率+長打率)は.600にまで落ち込んでいる。

 ただ、マーティンの打撃に大きな変化があったのかというと、そういうわけではない。衰えを見せる打者であれば、空振りや三振が増加したり、ボール球に手を出すことが増えるケースも多いが、マーティンの場合はそうした傾向は見られない。空振り率は昨季の14.5%からほぼ横ばいの14.4%だ。

 にもかかわらずこれほど数字を落としているのは、宮城や隅田同様、インプレー打球の結果による部分が大きい。インプレー打球がどれだけ安打になったかを表す「BABIP(Batting Average on Balls In Play)」という指標がある。先ほど紹介したDERを反転させたような指標だ。BABIPのリーグ平均値は.300程度だが、今季のマーティンはわずか.187。これは前半戦に200打席以上に立ったセパ79打者のうち、ワーストの値である。
 
 投手同様、打者についてもインプレー打球がアウトになるか安打になるかには、運がついてまわる。ただ、打者についてはインプレー打球の結果をある程度コントロールできることも分かっている。ほぼコントロールが不可能な投手と違って、この値が高い・低い傾向が継続する打者もなかにはいるのだ。

 実際、マーティンは例年BABIPが.250前後と非常に低い傾向が続いていた。しかし、それにしても.187は低すぎる。成績低下には少なからず不運が絡んでいる面はありそうだ。BABIP以外で明確に悪化しているデータも見られず、後半戦の巻き返しも十分期待できるのではないだろうか。

※データは前半戦終了時点

文●DELTA(@Deltagraphshttps://deltagraphs.co.jp/

【著者プロフィール】
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』の運営、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート5』(水曜社刊)が4月6日に発売。

【関連記事】「勝ち星=投手の実力」にあらず。勝利による評価の“限界”とは?【野球の“常識”を疑え!第1回】

【関連記事】【2022ドラフト候補ランキング|1~10位】トップ2は矢澤&蛭間で変わらず。日本文理・田中も“二刀流”に可能性を秘める<SLUGGER>

【関連記事】実力以外の要素に大きく左右される打点の欠陥。“打撃三冠”で評価する時代は終わった?【野球の“常識”を疑え!第2回】<SLUGGER>
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号