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MLB

大谷よりむしろトラウトをトレードに出すべき? 過去のスーパースター放出例から考える「エンジェルスの今後」<SLUGGER>

ナガオ勝司

2022.07.27

 そこに深い意味はない。エンジェルスは大谷が「投打二刀流」をメジャーリーグで成功させるため、ここまで非常に大きな役割を担ってきたものの、それを「優勝争い」と両立させられなかった。エンジェルスがそういうチームだというのはもはや、誰もが知っている。

 トラウトとアルバート・プホルス一塁手(現カーディナルス)の両雄が並び立っていた14年に地区優勝したが、その後は稚拙なチーム編成を繰り返したおかげで、勝率5割をキープすることすら厳しいシーズンが続いている。対照的に、同地区のマリナーズやレンジャーズがファームからの育成に成功した今季、エンジェルスが後退を強いられるのは当然なのだ。

 もしも、エンジェルスが大谷をトレードせずに長期契約を交わし、一緒に優勝を目指したいのなら、今後8年から10年もの間、メジャーリーグ全30球団で最高レベルの年俸総額を維持し続ける覚悟を持つべきだろう。

 そういう覚悟がないのに大谷を所有し続けたいのなら、エンジェルスは今こそトラウトをトレードに出すべきかもしれない。
 
 そんなバカげたトレードはあり得ない? いや、そうでもない。

 トラウトは現在、12年4億2650万ドルの超長期契約の4年目を迎えている。契約最終年の30年まで残り8年。野球選手としてのキャリアをエンジェルスに捧げたと誰もが思っているだろうが、過去に同様の印象を周囲に感じさせながら、契約期間をまっとうせずにトレードされた選手がいる。

“A-ROD”ことアレックス・ロドリゲスだ。

 通算3度もMVPを獲得しながら禁止薬物を使用した件で殿堂入りできずにいるいう事実はここでは無視していただくとして、A-RODは00年のオフ、レンジャーズと10年2億5200万ドル(現在の価値では4億ドル近いと言われる)の史上最高最高額契約(当時)を結んだ。にもかかわらず、それからわずか3年後の04年2月にヤンキースへトレードされている。

 A-RODの加入後、レンジャーズは3年連続で地区最下位に低迷。03年はA-RODがMVPに輝いたにもかかわらず、チーム成績にまったく反映されなかった。それはトラウトが16年と19年に、大谷が21年にMVPを獲っても負け越したエンジェルスの状況と、とてもよく似ている。
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