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プロ野球

「スーパー中学生」の現在地。虎の次代を担う森木大智が描く成長曲線「プロの1軍だと考えたら詰めが甘い」

チャリコ遠藤

2022.07.29

高知高校時代は甲子園出場こそならなかった。だが、森木のポテンシャルは同世代のなかでも図抜けていた。写真:産経新聞社

高知高校時代は甲子園出場こそならなかった。だが、森木のポテンシャルは同世代のなかでも図抜けていた。写真:産経新聞社

 入団以来、綿密な育成プランに沿って、着実にステップを踏んできた。2月のキャンプ中はブルペン入りだけにとどめて、3月上旬に始めて実戦形式のシート打撃に登板。同月12日に実戦デビューを飾ると、初先発は4月下旬のカナフレックス戦。その後はファームの先発ローテ入りを果たした。

 特筆すべきはこの間、一度も故障で後退していない点だ。「スーパー中学生」として注目された怪物の評価に違わぬ身体の強さと、豊富な知識、そして自己管理能力の高さ。その一端を垣間見たのは、2月に2軍のキャンプ地である高知で参加した「ピラティス」のメニューだった。

「身体のコントロールも上手ですし、体への意識がすごく高かった。体も大きいけど、その筋肉をうまく使えている印象です。本当に無駄がない感じがしました」とは、担当したピラティス講師の評だ。過去に1軍選手も苦戦した背骨を分節的に動かすメニューも難なくこなしたという森木は、身体操作性の高さと可動域の広さが目立った。自身の身体を理解しているからこそ「イメージ」を、そのまま実際の「動き」に変えられる。これは投球フォームにおける再現性にもつながってくるスキルだ。

 1年目も中盤を過ぎたが、逸材を預かる2軍の首脳陣は、今は優しく見守っている印象を受ける。プロ相手に初めての先発となった5月4日のウエスタン・リーグの広島戦(由宇)は4回6安打6失点と乱れた。本人も「準備段階からあまり状態が良くなかった」と首を振ったように、課題を試合中に修正できず。明らかな苦投だった。

 それでも、平田勝男監督は「良かったんじゃない。カープさんに感謝だな。森木がこれから大きくなる糧になる。順風満帆にいくよりはね」と苦しんだ制球面などに言及はしなかった。安藤優也2軍投手コーチも「良い勉強じゃないかな。いろんな課題が見つかったし、1個1個つぶしていくしかない」と成長への“授業料”と受け取った。

 変化球の精度やスタミナ面など今後に向上していくべき部分はある。だが、森木自身、今は散らばる短所に目を向けるよりも、一番のストロングポイントである直球を磨くことに注力しているように感じる。
 
 再び3か月前――。登板後の取材で筆者は自己最速となった155キロをマークした直球の手応えを聞くと、こう返ってきた。

「自分の中でもっと良い真っすぐが投げられると思っている。トラックマンとかも見ながら高めていけるところは高めていきたい」

 今はトラックマン、ホークアイ、ラプソードなどの細かなデータを算出する機器が当たり前のように球場にも設置されるようになり、全投球のトラッキングデータが個人にフィードバックされる。本人の言葉にもあるように、森木は、試行錯誤を重ねる日々の中で、回転軸、回転数、リリースポイントなどを研究しながら“最良のまっすぐ”を追い求めている。

 7月23日、各球団の有望株が顔を揃えるフレッシュオールスターの先発マウンドに上がった森木は1回無失点。最速153キロ、2奪三振の内容に「良いまっすぐを投げられていた。良い投球だった」と笑顔を浮かべた。

 プロの世界ではまだ何者でもないかもしれない。それでも虎の背番号20がこだわり、“研磨”し続ける直球で、周囲を驚かせる日は着実に近づいてきている。

取材・文●チャリコ遠藤

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